人口が増加する社会では、都市の発展とともに都心部の不動産価格が高騰し、多くの人々は相対的に割安な郊外の住宅地を選択、住宅地は外に向かって拡大していきます。

ところが人口が減少に転ずると、住宅の買い手が減り、都心に近い地域でも手頃な価格で買えるようになり、郊外から都心へと人口が逆流を始めます。

1980年代後半のバブル期には、地価が高騰したため、多くの人が都心から離れた郊外で住宅を購入しました。しかし現在、そうした地域では地価が大きく下落しています。たとえば千葉県木更津市では、83年に1平方メートルあたり8万円であった平均地価が、91年には同約49万円まで高騰しましたが、13年には3万円強まで下落しています。

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中古物件の資産価値を決める要因!

日本全体の人口が減少傾向の中でも、東京で働く人は増えています。湾岸部の高層マンション建設などで住宅も大量に供給され、一時期に比べれば価格も手ごろになって、都心の定住人口が増えています。一方で子供の数は減っているので、都心から遠い郊外の一戸建てを求める買い手の数は減っており、首都圏であっても、郊外の住宅地の地価には下押し圧力がかかっています。

従って一般的に言えば、今後は都心の物件が有利で、郊外の物件は不利と予想できます。ただし例外はあって、しっかり管理された高級住宅地は、たとえ地方都市の郊外にあっても価格が保たれています。たとえば仙台市の北西部に位置する、「泉パークタウン」などが一例です。東京近郊でも田園調布、自由が丘、成城といった人気高級住宅地は、やはりブランド価値を保っています。

こうしたことからも、資産価値の維持を優先するなら、割安な郊外物件より、高額な人気エリア物件のほうが一般的に有利といえるでしょう。

宮城大学 事業構想学部教授 田邉信之たなべ・のぶゆき)
1980年京都大学法学部卒業、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。不動産金融関連業務に従事。2009年より現職。金融・ファイナンス、不動産投資・証券化が専門。著書に『豊かな人生を築くための不動産との付き合い方』ほか。