一方、「悪い財布」の典型例は次のようなものだという。

主婦に多いのが「ミルフィーユ財布」。現金とレシートやポイントカードが、ケーキのミルフィーユのように何層にも重なっている。だからお札を出そうとして、なぜか病院の診察券も一緒に引っ張り出してしまったりする。

「こういうタイプの人はお金をコツコツ貯めようとしませんし、もしそう決心しても、貯められるはずのお金は何かに消えていきます」と山口さんは手厳しい。

男性の場合はさらに、「ポイントカードの重複」「カードの破損」という“病状”が重なることも。たとえば「某大手靴チェーンのポイントカードが財布から何枚も出てくるケースがよくあります」。すでにつくってあるのに、見つからなかったり、忘れていたりで何度も新しくつくり直してしまうのだ。

しかし、そこまではいいとして、財布のなかでカードが壊れてしまうようなことが本当にあるのだろうか。

「ありますよ。お財布を乱暴に使っていると、なかのカードが変形に耐え切れずに割れてしまうのです」

山口さんがそう断言する横で、ごそごそと何かを取り出す気配がした。当記事の写真を担当する永井浩カメラマンだ。「カードって、割れちゃうんですよ」。気まずそうにいいながら、尻ポケットから見事に肥った革の財布を取り出した。

売れっ子カメラマンの永井さんは、多忙にかまけて駐車券や領収書も財布のなかに入れっぱなし。それを尻ポケットに入れて肌身離さず持ち歩くから、職業柄大切なカメラ店のポイントカードにも亀裂ができてしまった。

左は、山口さんにダメ出しされた永井カメラマンの“ブタ財布”。現金のほかレシートやカードが未整理のまま詰め込まれている。大切なカメラ店のポイントカードにも亀裂が!(右)

「なかなか財布を見直す時間がなくて、こんな“ブタ財布”になってしまうんですよ」。呆れ顔で見ている山口さんに、照れたように言い訳する。

実は永井さん、大ベストセラーとなった熱血アスリートの日めくりカレンダーの撮影も担当した。それなのに印税ではなく買い切り契約としたため、気の毒にも莫大な儲けをフイにしてしまった。財布を見直してお金との接し方を変えれば、本当のお金持ちになれるかもしれない。