2016年6月24日(金)

「酒場」って何? 酒場エトセトラ5

dancyu 2014年9月号

文・藤田千恵子

1 酒場って何?

酒場の定義は広く、提供する酒が洋酒であろうと日本酒であろうと、風営法適用外(エッチなサービスはつきませーん)の“酒”を出す“場”は、すべて酒場。つまり、居酒屋も琉球酒場も英国風パブもスナックもバーもスペインバルも角打ちもみーんな酒場なのである。ちなみに1973年の広辞林で「居酒屋」を引いてみると「店先で手軽に酒を飲ませる酒屋。安酒を飲ませる店」とある。居ながらにして酒が飲める酒屋という意味だが、現在のような銘酒居酒屋が定着する以前には、出す酒が「安酒」と決めつけられていたことに隔世の感がある。

2 酒場は進化&深化している

旨い酒を求めて路地裏をウロウロとさまよったのも今は昔。今は、通りすがりにふらりと入っても「当たり」の酒場に出会えることが圧倒的に増えた。酒場で出される酒が総じて品質を上げたことに加えて、酒場の業態は多彩に広がり、かつ内容の深い専門店化も進んでいる。たとえば、ビアバーであれば「とりあえず」のビールだけでなく、さまざまな個性をじっくりと味わう英国やベルギーのビール、あるいは日本のクラフトビールの飲み比べが可能になったし、日本酒もまた言わずもがな。「ぬるめの燗と炙ったイカ」の世界だけでなく、純米酒の燗酒に特化した店や、さらにその純米燗を和食だけでなく無国籍な食事と味わうスタイルも増えている。さらには一軒の店の中だけで自然派ワイン、吟醸酒、純米燗、ベルギービールのすべてが愉しめ、合わせる酒肴も和の珍味から生ハムまで、という酒場のグローバル化も。

3 酒器からみた酒場

徳利と盃で酒を酌み交わすのが江戸期以来の酒場のスタイル。そこに“グラスで冷酒”のスタイルが登場したのが1980年代中盤。地酒ブーム以降は、枡の中にコップを置き、一升瓶の地酒をたっぷり注いで枡にこぼす(サービス)といった手法も多く用いるが、これにはップの底を酒に沈めるなんて不潔」と見る人もいて賛否両論。現在は吟醸酒はグラス、燗酒は盃でという大人の選択で仲良く共存。

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藤田 千恵子