──地方創生への参画と保険事業との関連性は。

【金杉】いきなり「何の保険が売れるのか」と考えず、人やお金が動く中でどのようなビジネスができるのか模索していく。テレマティクス技術も同じだ。テレマティクス技術は健康や生活、安全分野でも応用が可能で、意外な分野の事業体の方からの引き合いもある。将来、どのような展開が考えられるのか。柔軟に対応するために、社内外から人を集めてプロジェクト型で検討していく。

──新しいことに挑戦していく人材をどうやって育てるのか。

【金杉】マスコミには「大手4社」といっていただけるが、私は「3+1」でいいと考えている。上位3社にボリュームで肩を並べることも大切だが、それを追求するあまり大手意識になって発想が画一化されていくのは困る。もともと個性的な社員が多い会社なので、さらにそれを伸ばしていくことが大事だ。

──具体的な施策は。

【金杉】ヒントはダイバーシティだ。かつての男性中心の組織は、リーダーが「エイエイオー」と声をかければみんな同じように動いた。しかし、女性に力を発揮してもらうのに画一的なやり方は通用しない。大切なのは一人一人に合わせたきめ細かいマネジメントだが、そうしたマネジメントは、おのずから男性社員の個性を伸ばすことにもつながっていく。女性の活躍はいわばリトマス試験紙なので、しっかりやっていきたい。

あいおいニッセイ同和損保社長 金杉恭三
1956年、東京都出身。早稲田大学政治経済学部卒業後、79年大東京火災海上保険(現あいおいニッセイ同和損保)に入社。2008年あいおい損保常務役員人事企画部長、13年あいおいニッセイ同和損保取締役専務執行役員などを経て、16年4月より現職。
(増田忠英=構成 的野弘路=撮影)
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