――あいおいニッセイ同和損保 金杉恭三社長「テレマティクスで事故削減」

地域活性化のコーディネーターに

──現在の損保市場をどう見ているか。
あいおいニッセイ同和損保社長 金杉恭三氏

【金杉】少子高齢化の影響は間違いなくある。その一方で、技術革新や社会構造の転換によって新しいマーケットが広がると考えている。変化をつかんでチャンスに変えることが大切だ。

──想定している新市場は。

【金杉】昨年、最先端のテレマティクス技術を持った英BIG社を買収した。欧州では、2020年までに実走距離や運転挙動に連動したテレマティクス自動車保険に3~4割が切り替わるといった予測もある。今後はテレマティクス技術を持たなければ戦えない時代になる。BIG社のノウハウを活用して欧州のテレマティクス自動車保険分野でトップシェアを目指し、さらにグローバルにも展開していきたい。

──日本ではどうか。

【金杉】日本は無事故割引制度が充実しているため、テレマティクス保険が既存商品をすぐ凌駕するとは考えていない。国内で期待しているのは、テレマティクス技術を使って高齢者の方に末永く運転していただくこと。無事故だった方が高齢のために運転を誤るケースが社会問題化しているが、テレマティクス技術があれば、車線のはみ出しなどをフィードバックして、事故を減らすことが可能だ。テレマティクスはリスクの高いお客様を排除するためではなく、逆にリスクを減らして永く乗っていただくために活用したい。そうすれば運転者人口が減ってもマーケットは縮小しないし、社会にも貢献できる。

──ほかに注目している市場は。

【金杉】政府が地方創生でさまざまな取り組みを始めるので、私たちも地域に強い保険会社として参画していきたい。たとえば高齢者用の医療・介護施設や商業施設を組み合わせて移住を促す「生涯活躍のまち」構想があるが、私たちは地方自治体や地銀、地域の事業体のみなさんとネットワークがある。コーディネーターとして何かできるのではないか。