会話なし 家族は各自でスマホかゲーム

前出のシチズンの調査でもうひとつ気になるのは、子供と過ごす時間はこの35年間で約40分増えているのに、家族との会話は35年間で約3時間半減っていることだ(80年~15年の間で約3時間半減)。

子供と過ごす時間が増えても、それに比例して会話が増えるというわけではないのだ。ここで、一家団らんの内容にクローズアップした象印の調査を見てみよう。

「(家族で)話をする」は、「食事をする」「テレビを見る」に続く一家団らんの内容である。4位以下の事例を見ると、子どもと一緒にいながらも、「同じ場所で各自好きなことをする」というケースもある。

ある既婚女性(38歳・会社員)はこのデータに「心当たりあり」というふうにこう話す。

「夫と息子の2人だけの食事風景は、お通夜か? というくらい黙々としていて驚いたことがあります。私は具合が悪くて隣の部屋で寝ていたのですが、リビングから全く声が聞こえないので、最初、2人ともそこにいないのかと思ったほどです」

他にも、こんな声がある。

「土日は、妻が行きたがるので家族でショッピングをしています。子どもも退屈そうにしているのでスマホやタブレットを見させてどうにかしのいでいます」(32歳・会社員男性)

「休日の午前中など、2歳の子どもはテレビのアニメを無言で見ていて、夫はスマホ、私は家事をしながらスマホと、気付けば三者三様に手元の画面を見て過ごしているときがあります」(40歳・会社員女性)

極めつけは、「レストランで、幼い子ども2人と親がそれぞれ下を向いて自分のゲームに夢中になっている異様な光景を見たことがある」(35歳・自営業男性)。共に過ごしながらもスマホかゲームをいじっている風景が当たり前となりつつある今、大事な「会話の時間」はその犠牲になった形だろうか。