経営メカニズムや文化の違いを重視せよ

それと、原田氏もそうですが、日本コカ・コーラから資生堂に移った魚谷雅彦氏社長などにしても、実は本当の経営経験(日本型の本社経営)は持っていません。これら外資系企業の日本法人というのは、米国本社から見れば、あくまでも支店です。つまり、支店のトップはミドル、すなわち中間管理職ということになります。もし、マクドナルドの米国本社が原田氏に日本型経営での運営を任せて成功していたのなら、ベネッセの選択もうまくいったかもしれません。

その意味では、サントリーホールディングスの社長に就任した新浪剛史氏の場合は、全く状況が異なると思います。新浪氏はオーナーの佐治信忠会長と十数年来の信頼関係があります。また幹部クラスもその関係の線上、いわば半分身内のような存在です。さらに、政府の産業競争力会議のメンバーの経験や世界の著名な経営者をスイスに集める「世界経済フォーラム」の常連であるなど幅広い国際人脈も持っています。おそらく佐治会長は、今後の国際戦略を成功させるために、あえて創業家以外の経営者に白羽の矢を立てたのだと思います。

私は、グローバル化という変革期に直面した企業が、外部の新しい血を入れて組織を活性化させるための選択肢として、ミドルクラスの採用を加速させると見ています。もし、その目的が「本社社長求む」というのであれば、ヘッドハンティングの対象を日本企業本社社長経験者に絞り込むべきです。彼らなら、それまでの業績が数値化されているし、それ以上に大切な経験、いわば暗黙知も持っており、移籍先での成功も期待できるからです。

外部からCEOやCOOあるいは、それに準ずる人材を招聘するということは、ある意味で企業の命運をかけた選択です。その場合、日本型経営のメカニズムと西欧のそれは何がどう違うのかを把握し、なおかつ自社の社風や理念を再確認すべきでしょう。それを怠った安易な選択は間違いなくミスマッチを生み、不幸な結果は会社だけでなく従業員をも巻き込むといわざるをえません。

経営を円滑に運営するには、各業務レベルに適した人材を探し出す必要があります。けれども、今日のように人材の流動化がいわれていても、そう簡単なことではありません。私どもサーチファーム・ジャパンは、和製の人材エージェントとして、日本と西洋・米国型のメカニズムの違いを重視し、多様な人脈を生かしながら即戦力の人材発掘を行っています。それは、これからの日本企業の発展にとって、必ず役に立つ仕事だと自負しています。

武元康明(たけもと・やすあき)
サーチファームジャパン社長
1968年生まれ。石川県出身。日系、外資系、双方の企業(航空業界)を経て約18年の人材サーチキャリアを持つ。経済界と医師業界における世界有数のトップヘッドハンター。日本型経営と西洋型の違いを経験・理解し、それを企業と人材の マッチングに活かすよう心掛けている。クライアント対応から候補者インタビューを手がけるため、 驚異的なペースで 飛び回る毎日。2003年10月サーチファーム・ジャパン設立、常務。08年1月代表取締役社長、半蔵門パートナーズ代表取締役を兼任。