身長差のハンディをどう克服するか

また、握手には、身長差のある相手に使えるウラ技もある。

米大統領選挙においては、1900年から72年にニクソン大統領が自分より身長の高い候補を破るまで身長の高い候補者が勝ち続けたというデータがある。今年の大統領選挙でも候補者の身長についてインターネットで調べる有権者が多いという。米国では身長は政治的にも大きな関心事なのだ。

カナダの心理学者の研究によると、身長が高いほど社会的に力があるように見えるという。背が高いと、それだけ相手を「見下す」ケースが増えるためか、自尊心も高い人が多いらしい。

それでは背が低い人が見下されないためにはどうすればよいか。

それは、できるだけ離れた位置であいさつを済ませることで対処できる。身長差があっても距離が離れればそれだけ目線は水平に近くなり、「見下げられた」形ではなくなる。

対面シーンを写真に残す必要がある場合など、肩を接して並べば身長差が明確になり、背の低いほうが顎が上がり、貧弱な印象になってしまうが、間を空ければ目立たない。

具体的な距離でいえば、最低でも1メートルは確保したい。握手をしなければならない場合でも、互いに手を伸ばせば、1メートルを空けることは可能だ。

握手の仕方ひとつにも飯島勲の兵法が隠されていた!
日朝首脳交渉のような大切な外交の場でも、毎日のビジネスの場でも、様々なシチュエーションで行われる握手。こんなところにも、秘密のノウハウが隠されていた。
自分の身長が低いと感じているときは、決して相手と近づいて握手をしてはならない。握手をしてしまうと相手からマウンティングが行われる可能性があり、気持ちで負けてしまうのだ。
また「握手の指の握り方一つで、相手を意のままに操ることができる」と、飯島氏。

逆に地位の高い相手や上司よりも自分の身長が高い場合にも、ある程度の距離を保つことで、相手に威圧感を与えずに済む。

自分よりも身長が低い上司と横並びになった場合、見た目には自分のほうが偉く見えてしまうことが視覚効果でよくある。上司に惨めな思いをさせることは何のメリットもない。コンプレックスを抱かれ、嫌がらせされるのは何としても避けるべきだ。

背が低い人が自社で訪問者を迎える場合はさらに簡単な解決法がある。座って話せばよいのである。座ってしまえば、立っているときほど高さの差は出ないものだ。座高が変わらないのに身長差があるというのは脚の長さがそれだけ違うということだから、それはそれで悲しい事実なのだが、交渉時には目線が高いほうが有利だから、自分用に座面が高いイスを、来客用のソファは、普通に座ると沈み込んでしまうようなやわらかいクッションのものを用意しておくのも、1つの手だ。交渉の場ですら優位にさしむけるのが私の兵法である。

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