“本屋は儲からない”は間違っています

【弘兼】ここ代官山 蔦屋書店には1日中飽きずに居られそうです。「MEN'S CLUB」のバックナンバーが2階のラウンジには並んでいました。私はあの雑誌を一生懸命に読んでいた世代なんです。

【増田】「平凡パンチ」や「BRUTUS」も創刊号から揃っていますよ。

【弘兼】懐かしいですね。雑誌が元気だった時代から一変し、現在の出版業界は斜陽産業と言われています。都心の一等地にこんなに広い店を構えて、採算は取れるのでしょうか?

【増田】絶好調です。1坪あたり他の書店の3倍は売っています。「本屋は儲からない」と言われがちですよね。でも、そんなの間違っています。やり方によってはガンガン売れますよ。

カルチュア・コンビニエンス・クラブ 社長兼CEO 増田宗昭(ますだ・むねあき)
1951年、大阪府枚方市生まれ。同志社大学経済学部卒業。73年鈴屋に入社。「軽井沢ベルコモンズ」開発のほか、店長、販促ディレクターなどを歴任。同社退社後、83年「蔦屋書店(現・TSUTAYA枚方駅前本店)」を創業。85年カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)設立。

【弘兼】書店が減っている中で、TSUTAYAの本・雑誌販売店も増加を続け、今や国内最大の書店チェーンになりました。増田さんの経歴を見て目についたのは、CCCを創立する前、鈴屋というアパレルメーカーに入ったこと。最初はファッション業界を志望していたんですか?

【増田】大学時代にライフスタイルプロデューサーの浜野安宏さんが書いた『ファッション化社会』という本に出合ったんです。そこには「すべての産業はファッション産業になる」と書かれていて、鈴屋の事例も取り上げられていました。