年初1万8818円で始まった日経平均株価は、4月13日時点で1万6381円まで下落。同様に120円30銭だった円相場も、109円前後と大幅な円高となっている。

このような状況下では、投資は控えるべきと考える人も多い。たしかに道筋は見えにくく、アクセルを踏み込むのに適した状況とは言い難い。しかし投資先がないかといえば、実はそんなこともない。

この時期に考えたいのは、「利回り」を重視する投資である。株式に投資すると、業績などに応じて配当金が得られる。日本企業に内部留保が多いことはよく知られ、この資金は銀行などに預けられているが、マイナス金利政策によってただでさえ低かった銀行の預金金利はさらに低下。そこで内部留保金を配当や自社株買いに回す企業が増えると考えられる。

たとえば投資先進国とされる米国では株主への利益還元を求める声が強く、企業、投資家とも配当を重視。ジョンソン&ジョンソンや、プロクター&ギャンブル(P&G)は約50年もの間、増配を続け、優良企業とされている。

25期以上連続で増配している企業からなる「配当貴族指数」(※)という指数も存在。配当は株式投資の重要なリターンと考えられているのだ。

日本でも20期以上増配を続ける花王など、株主重視の姿勢をみせる企業が増えつつある。配当利回りは「1年間の配当額÷株価×100」で計算されるが、15年4月1日の日経平均採用銘柄の配当利回りが1.31%だったのに対し、16年同日は1.85%となっている。配当利回りが3%を超える企業は800を超えている。

企業が配当を増やすこと、または株価が下がることによって、配当利回りは高くなる。つまり、業績が堅調で配当額の引き下げ懸念がない企業であれば、株価の下落局面で投資することで、高い配当利回りが得られる、というわけだ。

※配当貴族指数……米国を代表する株価指数であるS&P500の構成銘柄のうち、25期以上連続して増配を継続している銘柄で構成されている指数。ウォルマート、スリーエム、コカ・コーラなども。