500万部を売り上げた世界的なベストセラー『エクセレント・カンパニー』の著者、トム・ピーターズ氏。労働環境が激変する中、これからの企業は、リーダーや組織の人材はどうあるべきか。ラーニングエッジ代表の清水康一朗が聞いた。

成功と没落。企業の明暗を分けたもの

マッキンゼー時代に私は同僚とともに徹底的な面談調査を行った結果、超優良企業に共通する8つの基本的特質を見いだした。これは、これからイノベーションを起こし、大企業へ成長するであろう中小企業にも当てはまる。

ラーニングエッジ代表 清水康一朗氏(聞き手)とトム・ピーターズ氏。

(1)行動の重視
意思決定の際に分析だけを偏重するのではなく、トライ・アンド・エラーを信条とする。製品開発においても実験精神が旺盛で、次々と消費者にアイデアをぶつける。経営者自身、社長室や会議室にこもっているのではなく、現場に出向き、顧客と話をする。

(2)顧客に密着する
顧客の声に耳を傾けることで、平凡な商品であっても、その改良アイデアを見つけ出し、差別化できる。また、心のこもったアフターサービスを受けた顧客は決して会社のことを忘れない。

(3)自主性と起業家精神
革新的な企業は社内に優秀なリーダーがいるだけでなく、大勢の創意ある社員を抱えている。執務時間の15%を自分の好きな研究に使ってもよいとするスリーエムの「15%カルチャー」やグーグルの「20%ルール」はわかりやすい例だろう。

(4)人を通じての生産性向上
個人を尊重することで、末端の社員までもが品質・生産性の向上に貢献する風土ができあがる。従業員自身に自分の運命を決めさせることで目的意識を持たせるのだ。

(5)価値観に基づく実践
60年代、社運をかけたコンピュータ開発によりIBM繁栄の基礎を築いたトーマス・J・ワトソン・ジュニアは「組織体の持つべき基本的な考え方は技術力、資金力、組織構造、新製品の導入、タイミングといったことより、はるかに強く企業業績とつながっている」と述べた。最近の日本であれば、JALの経営再建にあたり、JALフィロソフィによって従業員の意識改革が図られ、見事に業績を回復させたことは記憶に新しい。