「レッドブル」がブレイクした理由

パリピは外国人とのコミュニケーションを好み、海外からの影響を受けやすい特徴があります。

たとえば直近の3年で市場規模が3倍以上に急成長したエナジードリンク市場は、パリピによって広げられたといってもいいでしょう。アメリカで人気の「レッドブル」にパリピが飛びついたことで、従来の中高年向けの栄養ドリンクとは違う市場が広がりました。

また急拡大している数万円台の高級ヘッドホン市場もパリピが存在感を発揮しました。2年前には業界首位の「ビーツ」が32億ドル(約3400億円)でアップルに買収されましたが、パリピがこぞって身につけていたのも「ビーツ」でした。

数年後までにブレイクが見込まれるものとしては「イースター」があります。キリスト教にちなんだ春の祭事で、シンボルは卵やウサギ。ディズニーランドやUSJでもイベントが行われており、ハロウィンに続いて認知度が急激に上がっています。

パリピに対して「バカ騒ぎが好きなだけ」というネガティブな印象をもつ人もいるようです。私はこれまでたくさんのパリピにインタビューをしてきましたが、よく苦労させられました。なぜなら「その商品を買った理由は?」などと聞いても、「ビビッときたから」「ワクワクしたから」といった直感的な回答が多いからです。彼らは直感を重視し、動物的な感性で行動するため、言語や論理を必要としないのでしょう。

しかし同時に、彼らと一緒にいると、純粋に「楽しい」と感じることが多くありました。パリピは自分が楽しむこと、そして仲間たちが楽しむことだけを純粋に追求して生きています。彼らは全体的にエネルギーが減ってきている若者のなかでは特異な存在です。彼らの生態と志向を研究し、彼らを飛びつかせることができれば、他人にパワーと幸せを与える新しい消費を生み出すことができるはずです。彼らに注目をしない理由はありません。

※1:1220億円という金額は日本記念日協会が推計を行っている記念日の中で、過去に「クリスマス」と「バレンタインデー」のふたつだけしか記録していない。http://www.kinenbilabo.jp/?p=406より抜粋
※2:ジェフリー・ムーア『キャズム──ハイテクをブレイクさせる「超」マーケティング理論』(翔泳社、2002年)。原題は「Crossing the Chasm」。

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エナジードリンク -なぜリポビタンDはレッドブルに勝てないか