戦略進化2:ニーズをつかんだ特典付きカード

マップと同時に取り組んだのが、日本人向けの会員制サービスのシステムを応用した訪日客向けの「ようこそ!カード」という各種特典付きカードだ。国内外の旅行会社700社と提携し、チケットと一緒に渡してもらう仕組みを導入。ホテルでは、チェックイン時に手渡してもらった。

「ようこそ!カード」の特徴は、海外のどの提携先で配布したカードが日本のどの店舗で使用されたかがわかることだ。免税販売のデータと合わせれば、どの国の旅行客がどの店でどんな商品を買っているか、自社のインバウンドの市場動向をリアルタイムでつかみ、各店舗の品揃えに活かせる。

「商品の全ジャンルに関するデータを持っている点では、ドラッグストアさんより多分優勢でしょう」(中村氏)ドン・キホーテの訪日客の時間帯別売上高のピークは夜10時台で、昼間の3倍も高い。夕食後、マップを手に街を散策しながら、ドン・キホーテの店舗に入ると、そこには自国の言語のPOPがついた売れ筋が並ぶ。24時間営業で「夜の観光」需要の取り込みに成功したのも戦略の進化の成果だ。

(左)商品の使い方がわからなければ、訪日客専用コールセンター「ウェルカムデスク」へ。同センターには、英語、中国語、韓国語、タイ語を話せるスタッフが常駐。各店舗とiPad のテレビ電話でつながる。(右)中国元、USドルなど7通貨に対応し、外貨でレジ精算ができる機械も設置。お釣りは日本円。