2016年6月3日(金)

知ればきっとおいしい話。カレーうんちく3つ

dancyu 2014年4月号

文・澁川祐子

明治10年、西南戦争の年にカレーライスが銀座にデビュー!

カレーを初めて庶民向けに売り出したのは、記録をたどるかぎり、両国若松町(現在の東京都中央区東日本橋)にあった「米津フウ(※)月堂(現・東京フウ月堂)」である。洋食というと30~80銭(現在の物価に換算すると、およそ6000円~1万6000円)の高額なコース料理しかなかった時代、1877(明治10)年に開業した喫茶部では、カレーライス、カツレツ、オムレツ、ビフテキを8銭均一で提供したのだった。※=かぜかんむりに百

明治30年代ともなると、大衆向けの洋食屋が増え始め、カレーは洋食の代表格になっていく。

大阪も負けていない。1910(明治43)年には、生卵を使ったカレーで有名な「自由軒」が、大阪・難波で創業。1929(昭和4)年には梅田で阪急百貨店が開店し、カレーライスが食堂の超人気メニューとなっている。

大衆化が進む大阪に対し、東京では、本格化、高級化が進んだ。

1924(大正13)年、神田でスマトラカレー専門の店「共栄堂」が創業。続く1927(昭和2)年、パン屋からスタートした「新宿中村屋」が喫茶部で“純印度式カリー”を発売。創業者の相馬愛蔵が、インドの独立運動家ラス・ビハリ・ボースをかくまったことをきっかけに、スパイスが効いたインドカレーが日本で初めて紹介された。当時、巷のカレーは10銭前後。中村屋のカレーは80銭もする高級品だったが、一日200食を超える売れ行きだったという。

時代は飛んで戦後。1947年、大阪・難波で、日本人向けにインドカレーをアレンジした「インデアンカレー」が開店する。一方東京では、銀座に日本初のインド料理専門店「ナイルレストラン」がオープン。東西カレー専門店の歴史は、こうして後世に引き継がれていった。

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澁川 祐子