Q 耐震補強のためだけに大がかりなリフォームをすべきか、迷っています。

A 4月の熊本地震では多くの方が住宅倒壊などの被害に遭いました。自宅の安全性は確かなのか、あらためて気になっている方もいるでしょう。昭和56年6月より前の旧耐震基準で設計された住まいであれば、耐震診断は急務です。耐震改修の必要があると診断された場合は、構造部分からきちんとした工事を行ってほしいですね。壁をはがすなどの工事を行うことになりますので、壁や天井の断熱材を追加するといった省エネ化も合わせて施工すると、効率的です。

耐震、省エネ、バリアフリーは「3大リフォーム」と呼ばれています。このうち、快適性に直結するのが、断熱改修をはじめとした省エネ化です。断熱性が高い住まいは冷暖房効率がよいので、エアコンをかけすぎずとも適温に保ちやすく、光熱費やCO2排出量の削減につながります。また、暑さ、寒さがもたらす体への負担も軽減できます。夏になると連日報道される熱中症や、冬のヒートショック予防にも有効です。

今は断熱改修の予定がない方でも、窓の交換には手を付けておくとよいでしょう。熱が出入りする原因の大半は窓にあります。古い戸建てに多く採用されているアルミサッシ・単板ガラスの窓は、断熱性が低く、外気の影響をそのまま室内に伝えてしまいます。私自身、窓リフォームで生活の質を高めた一人です。

最後の一つは、バリアフリーです。ここで大切なのは、家族の意向を確認しておくこと。我が家で介護を受けたいのか、いずれは施設に住み替えるつもりなのか。そこを明らかにすれば、住まいの形が見えてくるかもしれません。

Q 減税を受けられるリフォームがあると聞きました。どんな工事が対象になるのでしょうか。

A 耐震・省エネ・バリアフリーの3大リフォームは、所得税や固定資産税の控除が用意されています。さらに今年度から、三世代同居に向けた間取り変更なども所得税の減税対象となりました。それぞれ適用要件が異なります。例えば省エネ化で控除を受ける場合は窓の断熱改修が必須条件です。また併用できない組み合わせもあるので、事前に調べておきましょう。このほかに緑化や移住促進など、地域課題の解決に貢献する工事に対して、独自の助成制度を設けている自治体もあります。

リフォームに関する減税や助成制度は多岐にわたり、適用要件は複雑です。まずは施工会社に相談しましょう。大手リフォーム会社には税制に詳しい人材がいますし、地場の工務店は地域の事情に通じていることも少なくありません。複数社に見積もりを取り、あわせて税制や助成制度についても質問してみましょう。価格だけでなく、手間をいとわず誠実な対応ができるかどうかも、会社選びの基準の一つになります。

Q 成功するリフォームのポイントとはなんでしょうか。

A 「子供が帰省したときに泊まるかもしれないから、子供部屋は残したい」「介護で親と同居するかもしれないから、余分な部屋をつくっておこう」。この「かもしれない」というあやふやな期待を拠り所にしたプランニングは失敗のもとです。子供の将来や両親の介護などは、家族みんなで考えるべきテーマ。将来にどんな暮らしをしたいのか、何が不安なのかを明確にしておくことが、リフォームを成功に導く第一歩です。先延ばしにしてしまわず、家族みんなで話し合ってみてはいかがでしょうか。

リフォーム成功の3箇条

1 我が家の課題を明確にする
現在の住居で改善したい点を明確化する。耐震診断や構造の状態など、住まいのコンディションも把握しておく。

2 複数社から見積もりを取る
大手リフォーム会社や工務店など、施工会社にはそれぞれ強みがある。価格だけでなく対応の誠実さや知識・経験の豊富さなどを見ておく。

3 「かもしれない」リフォームは危険
家族に対する根拠のない期待でリフォームするのは後悔のもと。しっかりと話し合い、家族の将来像を共有しておく。