住み慣れた我が家も、20年、30年たてば暑さ、寒さがきつかったり、耐震性に不安があったりと、何かと気になる部分が出てくる。そこで頼りになるのが、リフォームだ。今使える減税制度や注意したいポイントなどを、住宅ジャーナリストの山本久美子さんに聞いた。
山本久美子(やまもと・くみこ)
●住宅ジャーナリスト

早稲田大学卒業後、福武書店(現ベネッセコーポレーション)を経てリクルートに入社。『週刊住宅情報』『都心に住む』などの副編集長を務めた。2004年に独立後は、住宅の取材や現地調査などで得た知識を生かし、住宅メディアの編集やセミナーでの講演活動を行うなど、幅広く活躍している。

Q 家が古くなり、劣化が気になっています。リフォームでどこまで変えられるのでしょうか。

A リフォームをうまく使えば、住まいのたいていの悩みは解消できます。設備交換や壁紙の張り替えといった小規模な工事はもちろん、住まい方をがらりと変えてしまうことも可能です。内装や設備を取り外し、構造部分だけに戻して全面的にリフォームすれば、窓の位置を移動したり、仕切り壁を取って間取りを変えてしまうような改修にも柔軟に対応できます。

大がかりな工事はコストがかさみますが、ベースとなる基礎や構造はもとからあるものを生かしているため、当然ながら建て替えに比べると費用負担を抑えやすいのが利点です。廃材が少ないのも、環境負荷を重視する時代にはポイントになります。日本では長らく「住まいは新築がいい」という文化が根差していましたが、近年は「生かせるものを生かす」というリフォームの合理性に注目が集まっています。若い世代を中心に、中古物件を購入してリノベーションする動きも盛んです。

Q 予算に限りがある中で、どこまで手を付けるべきでしょうか。

A 課題が明確であれば、優先すべき部分は自ずと決まってきます。一般的には、トイレやキッチン、お風呂など水回りに関係する住宅設備を交換するケースが多いですね。住宅設備は進歩が目覚ましく、使い始めた日から、効果を実感できます。

例えば最新のトイレの中には掃除の手間が少なくて済む自動除菌機能を備えたモデルなども登場しています。浴室も水はけのよい床や、保温タイプの浴槽の登場でいっそう使い心地がよくなっています。加えて、防水性の高いユニットバスではない古い住宅の浴室は、防水加工の劣化で水漏れを起こすなどして、構造部分が腐食している恐れもあります。浴室リフォームで構造の傷み具合がわかるということも珍しくありません。

築年数が30年以上経過している戸建てであれば、目に見える不具合はなくても、構造部分がシロアリに食われていたり、劣化が進んでいることもあります。一度ご自宅のコンディションを調べてみてください。