先日、ある調査で、小学生の人気職業の中に「ユーチューバー」が入っているというニュースが話題になった。

確かに、ユーチューブ上で自作の動画を発表し、アクセス数を稼いでかなり高額の収入を得る人が登場している。そんな時代の流れを、小学生たちは敏感に受け止めている。

画像はHIKAKIN。YouTubeでの国内チャンネル総登録者数は計660万人以上で、日本トップクラスのユーチューバー。(時事通信フォト=写真)

多くのアクセスを集めるのはそれなりに大変だが、一方で、個人で手軽に始められるというメリットもある。ユーチューブに代表されるインターネットという新しいメディアが、今までにないかたちでスターたちを生み出しているのである。

ユーチューブだけでなく、ニコニコ動画などの新しいメディアに一番敏感なのは、子どもや若者である。そのような舞台で活躍し、生活を成り立たせている人たちが、新しいヒーローとなり始めている。

一方、大人たちは、子どもや若者が夢中になっている新しい動きに、必ずしも通じていない。その結果、認識に齟齬が生まれることもある。

時折、お子さんの教育の問題について相談を受ける。その際に親御さんの脳裏にあるのは、従来型の成功のモデルである。例えば、いわゆるいい大学に入って、大きな会社に就職する、というルートを思い描いていらっしゃる。ユーチューバーにあこがれる子どもたちとの間には、ずれが生じている。

もちろん、大人たちの保守的な言い分にも、理がないわけではない。ユーチューバーといっても、たくさん稼げるのは、ごく一部の方々。大多数の方は、ユーチューブに動画を上げても、アクセスが集まらず、いわゆる「底辺ユーチューバー」と言われ、生活も厳しいという実態がある。

社会は、従来型の秩序と新しい動きがミックスした形で発展していく。既存のやり方を全否定するのも間違っているが、新しい動きに注目しないのも、もったいない。