タクシーという“甘い汁”はやめられない

一度“甘い汁”を吸うとやめられなくなるのが人間だ。また育児、家事、夫の世話、そして自分の仕事と、女性は1人何役もこなすのだから、「タクシーくらいは……」という考えになる人がいるのも頷ける。自分へのちょっとしたご褒美が、「主婦のエンジン」なのだろう。

とはいえ、同じように働き詰めで疲れているのは会社員も同じだ。しかし、タクシー利用頻度が主婦より低いのは、会社側からその“甘い汁”を吸うのをルールで制限されているからに違いない。各企業は、今なお人件費以外の経費も絞って「乾いた雑巾」からさらに「水滴」を出そうとしている。よって、交通アクセスが発達している都会の企業においては、案外、タクシー乗車率が伸び悩む理由かもしれない。

逆に言うと、そうした縛りがないことが、主婦のタクシー利用度が高い心理的な要因だろうか。

同協会の調査で、「(タクシーの利便性である)ドア・ツゥー・ ドアの特性を考えたときの運賃水準が高い」と思う人は前年度より1.4%少なかった。微減だが、タクシーを利用するほどその利便性にやみつきになり、利用頻度が上がる罠にハマっていく傾向があると言えるのかもしれない。今後、アプリでタクシーを簡単に呼ぶ仕組み(配車システム)が普及していけば、さらにその傾向は高まる可能性はある。

アットホームの調査では、住まい選びの際にタクシー代を考慮したことがある人は7.7%。前出の自由業の女性は駅から遠いことでタクシー利用は避けられないことはある程度想定していたが、タクシーを呼ぶのに2時間もかかる激戦エリアとは想定外だったと話す。

確かに住んでみないとわからない要素は意外と多い。そしてそんな不確定要素にかかるコストはバカにならない。こうしてみると、プライベートのタクシー利用頻度でその人の「先見力」がわかるのかもしれない。

※出典
・「第24回(平成27年度)タクシーに関するアンケート」
一般社団法人東京タクシー・ハイヤー協会がタクシー乗り場や車内で利用客に配ったアンケート。有効回答数870人(回答者の構成比率は、会社員41.0%、主婦25.3%が最も多かった)
http://www.taxi-tokyo.or.jp/enquete/pdf/research2015.pdf
・「都内勤務の20~50代営業職サラリーマンに聞く、タクシー代と住まいに関する調査」
アットホームが2013年2月、1都3県在住、東京都内勤務の20~50代営業職のサラリーマンに調査。各世代150名、計600名を対象。
http://www.athome.co.jp/contents/at-research/vol24/

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