頭がパニック状態になると人は救いを求める 

嘘の情報で相手をパニック状態に陥れるのはほとんど犯罪行為で、断じて許されることではない。詐欺・便乗商法をする輩はいわば「知能犯」だが、その“スキル”はもともとまっとうなビジネスで使われていたものなのだ。

ここで頭を震災エリアにおける詐欺・便乗商法といった観点からいったい離し、ビジネスに切り替えてみよう。パニック状態に陥っている相手へ必要なアドバイスをする行為を顧客対策として正しく使うことは、接客や商談などあらゆるビジネスの場面で見られる。

写真はイメージです。

先日、私はチラシを見て、大手家電量販店へ電気釜を買いに行った。

だが、電気釜とひとことでいってもあまりにもたくさんの商品があり、どれにしようか本当に迷った。多機能で選ぶべきか、おいしく炊けることを重視すべきか、価格で選ぶべきか、日本のメーカーのものを選ぶべきか……。困り顔の私のもとにひとりの店員がやってきた。

とても親切な口調で、私の家族構成などを尋ねて、どの大きさの釜がベストかを指南してくれた。さらに、今は米を炊くだけでなく、パンや他の料理を簡単につくれる機能があるものもあるが、それを使うかどうかも尋ねてきた。

ひと通り、私の必要性を聞き出すと、いくつかのメーカーの品を指差してくれた。選択肢が少なくなると、商品を選びやすくなるものだ。私はその中から、自分に合った一品を選ぶことができた。私たちはものを選ぶとき、あまりに悩み、ちょっとしたパニック状態になることがある。そんな状況に陥ると、それを整理してくれるアドバイスがほしくなる。

ビジネスでも煩わしい事態に遭遇することもある。

取引先とのトラブルから裁判などのやっかいな事態になれば、弁護士に依頼して、解決をはかってもらう。経理に関することであれば、会計士や税理士にお任せする。役所へ煩雑な書類の提出があれば、行政書士に頼むといった具合だ。面倒なこと、悩んだ状態が起こった時には、誰かに頼んで解決するのが一番なのである。

特に今は情報化社会で、何かほしい、知りたいと思い、ネットで調べればすぐにたくさんの情報が手に入るようになっている。そのことでかえって情報過多な状態に置かれやすくなり、どこから手をつけていいかわからず、悩む状況に陥る人も多い。情報の交通整理をしてあげて、アドバイスをすることは重要である。ビジネス上でこれができる人こそ、相手から一目置かれる存在になりうるのだ。

ただ、残念ながら震災など混乱に乗じて、そうしたテクニックを悪の道に使って、困った人をさらに困った状態にする輩がこの世からいなくなることはない。注意を怠れば、泣きっ面に蜂の憂き目にあってしまうのが現代なのかもしれない。

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