30歳で楽天をやめた

【田原】どうして辞めたの?

【岸田】もともと30歳で辞めて起業するつもりでした。そのことは楽天に入社したときに決めていて、入社早々、まわりにも宣言していました。退職後に何をするのか決まっていなかったのですが、実際に30歳になってしまったので、もう辞めざるを得ないなと。

【田原】さて、辞めて何しましょうか。

【岸田】先輩の小澤隆生さんが、僕が辞める数カ月前に楽天を退職して個人投資家になっていました。起業の種を探すために、とりあえず小澤さんのところで丁稚奉公しました。

【田原】小澤さんは、どういう人なんですか。

【岸田】小澤さんは楽天オークションのもとになるサービスをつくった人で、そのサービスを楽天に売却して入社。その後、楽天イーグルスの責任者も務めています。僕はもともとオークションに興味があって楽天に転職したので、小澤さんは憧れの存在でした。いまはヤフーの執行役員を務めていますが、当時はエンジェルとして活動されていました。彼の背中から学んだことが山ほどあります。

【田原】小澤さんのところに弟子入りして、何か見つかりましたか。

【岸田】小澤さんが答えを教えてくれるわけではないので、自分で模索するしかありません。そこでこれまでの人生を振り返ったところ、2つの旗が立ちました。僕はカラオケボックスや楽天デリバリーで食べ物にかかわっている時間が長かった。一方、球団の動員責任者になって、球場にきたお客さんが楽しんでいる風景も心に残っていた。この2つを考えると、食というテーマでたくさんの人に喜びを感じてもらえる仕事がいいなと。