見通しが明るい新興国とは

──中国市場も昨年から下落していますが、投資は続けられますか。

私は今、中国株を売ることも買うことも考えていません。株価は最高値から70%ほど下落し、さらに下がる可能性もあります。それでも、私が中国に投資し続ける理由のひとつは、彼らが大気汚染の対策に大金を投じていることです。この分野に投資していれば間違いない。ヘルスケアもさらに需要が高まり、改善が進むでしょう。鉄道も有望株です。これらの分野は発展し続けると思うので投資しています。

他の新興国について言えば、ベトナムはいいですね。イラン、ナイジェリア、コロンビアも国の変革が進んでいますから、これからよくなるでしょう。私は4月にコロンビアを訪問し、同国最大のマリファナ生産者になると思われる企業の幹部と会う予定です。世界ではマリファナを合法化する動きが進んでおり、国連もこれを後押しする研究結果を近々発表しますので、新たな一大産業に成長しつつある。コロンビアの気候はマリファナ栽培に適しており、なんといっても長年非合法に麻薬を栽培してきた歴史がありますから、世界有数の産地になるでしょう。

ジム・ロジャーズ氏の最新刊『世界的な大富豪が人生で大切にしてきたこと60』(プレジデント社)
──為替投資については、どのようなスタンスですか。

現在、私は米ドルをもっとも多く保有しています。安定した通貨ですからね。ただし金融不安が高まると、人々は安全な避難場所を求めるようになる。すでに米ドルを買う動きが加速しているので心配になってきたところです。今後の展開として、ドルはいったん下落し、金融市場の悪化に伴ってさかんに買われるようになり、価格が高騰すると予測しています。ほかには人民元とルーブルを持っています。

何にせよ、日本の皆さんも国外に資産を持つべきです。あなたの財布の中にある千円札の価値は、市場では下がっているんですよ。

 
Jim Rogers
1942年米国生まれ。イェール大学卒後、オックスフォード大学ベリオールカレッジ修了。ジョージ・ソロスと国際投資会社クォンタムファンドを共同設立。最新刊に『世界的な大富豪が人生で大切にしてきたこと60』(プレジデント社刊)。
(ライター 原賀真紀子=インタビュー・構成 澁谷高晴=撮影)
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