NTT東からベンチャー企業「フォトクリエイト」へ

田原総一朗氏

【田原】自由に仕事ができたのに、NTTを辞めてフォトクリエイトというベンチャーに転職されますね。どうしてですか。

【重松】NTTはキャリアステップが明確で、10年先の自分がはっきり見えるんです。当時、「あいつは40歳前後で何とか支店の課長になる」といわれていた同期の友人は、いま実際に某支店の課長になっています。先のことがきちんと計算できる世界はいい面もあるのですが、私は違和感を感じました。それでNTTの同期が起業したベンチャーに転職したのです。

【田原】フォトクリエイトは、どういう会社?

【重松】イベントにカメラマンを派遣して、撮影した写真をインターネットで販売する事業をやっていました。たとえば東京マラソンなら、1大会で3万5000人が走ります。そこにカメラマン100人を派遣して、100万枚くらい撮ってサイトにアップ。ランナーは後日、自分のゼッケン番号で検索をして、気に入った写真があれば購入できるという仕組みです。

【田原】それでビジネスになるのですか。

【重松】マラソンだと、だいたいランナーの2~3割の方が買ってくれます。
特に東京マラソンなどは大きなビジネスになりました。

【田原】でも、マラソン大会は年に数回でしょう?

【重松】ほかのイベントもやっています。たとえばコンサートの写真を撮ってオフィシャルで販売をしたり、幼稚園や保育園の遠足にカメラマンを派遣したり。私が関わったところでいうと、ウェディング写真もいいビジネスになりました。それまで結婚式の写真って、新郎新婦の手元に届くまで2~3カ月かかっていたんです。デジカメとネットの時代になっても、それが変わらないのはおかしい。そこで速報性を大事にして、式の1週間後に参列者が見て買えるというサービスを立ち上げました。これがとても好評で、いまは結婚披露宴市場で約2割の方に利用されるサービスに成長しているはずです。