(3)スキル以上の背伸びをさせよう

普段の仕事ではあまり使わないスキルを使うチャンスを与えることによって、社員を挑戦に引き入れよう。自分の現在のスキル以上に背伸びすることで、社員は新しい視点からものを考える経験──効果的なチーム協力の重要な要素──を得ることになる。新しい視点は革新的なアイデアのすばらしい源泉にもなりうる。

(4)楽しく、注目される挑戦にしよう

チームの協力を軌道に乗せるために、チームの挑戦に娯楽性を持たせよう。たとえばピツニー・ボウズ(コネチカット州)の経営サービス・企業会計部門担当副社長のデウォルトは、チームのブレーンストーミング・セッションを「The Apprentice」というテレビ番組を模した構成にした。ドナルド・トランプが野心満々の事業家たちに挑戦を与え、平凡なパフォーマンスに終わった人たちに「おまえはクビだ(You're fired!)」と宣言することで人気を集めている番組だ。

デウォルトは、その活動が単なる娯楽に終わるものではないことも明確に伝えた。「われわれはチームに、最も優れたアイデアには会社が予算をつけると伝えた。だから彼らは、そのブレーンストーミングの結果は行動に移せるということを知っていた」。彼らはさらに、自分たちの仕事が注目されているということも知ることになる。ブレーンストーミング・セッションのあとで、各小グループは自分たちのアイデアを書き留めたボードを集めて6階の役員室に持っていったのだ。

チームの最も優れたアイデアのうち4つが、会社全体あるいは事業部のマーケティング・プランとして実行に移された。チームの参加者たちも、互いの視点をうまく利用し合おうとして以前より積極的に協力するようになった。

(5)社員が挑戦を「実感する」手助けを

ゼネラル・モーターズのサターン事業部の幹部は、先ごろ小売り部門の社員チームにサターンの目的──顧客を「驚かせ、喜ばせる」──を達成する新しいアイデアを生み出すよう求めた際、次のような手法を使った。

まず、それぞれの小売りチームに自転車を組み立てることで円滑に協力する方法を学ぶコア価値訓練コースを設計した。その次に、各チームに、自分たちが組み立てた自転車の新しいオーナーを驚かせ、喜ばせる「納品経験」を考案するよう求めた。

すべてのチームが戦略を立て終わったところで、進行役が地元の子どもたちを部屋に招き入れ、この子たちが自転車の新しいオーナーだと発表した。子どもたちもサターン・チームもその計画については事前に何も知らされていなかった。「チームは子どもたちを驚かせ、喜ばせただけでなく、自分たち自身もそうした感覚を味わった」と、小売り戦略・顧客経験担当マネジャー、クリス・バウアーは語る。こうしてチームのメンバーは、自分たちが何を達成しようとしているのかを肌で理解したのである。

(翻訳=ディプロマット)