(1)できるだけ多くの情報を与えよう

チームのメンバーに、彼らの活動が会社にとってなぜ重要なのかについて、できるだけ多くの情報を与えよう。「人は内情に通じていたいと思うものだ」と、メイン州ポートランドのマーケティング・サービス会社、VIAグループのCEOで創立パートナーでもあるジョン・コールマンは語る。「社員にわが社の挑戦について知らせることで、彼らに自分は内輪の一員だという感覚を持たせている」。

グレイザーはクライアントに「会社のクローゼットを開け放とう」と勧めている。「『今四半期のわが社の業績は低下した』というニュースであれ、他の厄介なニュースであれ、厳しい事実を隠すことなく知らせよう。そうすれば社員は会社を守りたいと思うようになる」と、彼女は説明する。このように事実を知らせることは、チームの団結を促し、チームのメンバーが自分たちは何を達成せねばならないかについて共通のビジョンを築く助けになる。

(2)適度な指針を与えよう

「『君のアイデアを聞かせてくれ。君はこの活動にどんなイノベーションを投入できるかね』などと問いかけて、メンバーに自分はどんな独自の貢献ができるかを言葉ではっきり表現させよう」と、グレイザーはクライアントに勧めている。だが同時に、アイデアを生み出したり決定を下したりするための指針を与えることも大切だ。

コロラド州にあるプラグマテク・ソフトウエアの社長兼CEO、ブライアン・ザンギは、同社に迎えられて間もないころ、幹部チームに対してこのアプローチをとった。目的は部署の垣根を越えた協力を促すことだったが、幹部チームの半数はやはり新たにこの会社に入った人々であり、しかもこの会社には階層を重んじる文化があった。

「部署横断的な活動はほとんどなく、決定はすべてトップによってなされていた」と、ザンギは振り返る。彼が幹部チームに部署の垣根を越えて協力するよう求めたとき、古参メンバーのなかには快く思わない者もいた。「自分たちの役割は今後どうなるのかと不安を抱く者や、どうやって同僚と協力すればよいかわからない者がいた」と、彼は説明する。

こうした障害を克服するために、ザンギは彼らに、各自の専門知識をベースに部署横断的な活動のアイデアを生み出すという挑戦を与えた。こまごまとした指示を出す代わりに、彼は、幹部チームのブレーンストーミングにある程度の必要な骨組みを与えた。たとえば「このアイデアはわが社の製品に対する顧客の忠誠度をどのように高めるのか」といった質問をして、アイデアを試練にかけた。