2016年5月6日(金)

水で煮込むか、ワインで煮込むか? 検証、おいしいカレーのつくり方

dancyu 2014年7月号

文・松浦達也 撮影・牧田健太郎

[論争1]水で煮込むか、ワインで煮込むか

▼やっぱり酒の力は偉大だった

隠し味の定番といえば、やはり酒。カレーの鍋だけでなく、自分自身にも注入(!)できるのも魅力のうちだ。

なかでもカレーに抜群の相性を見せた酒は、赤ワイン、日本酒、ビールの醸造酒トリオだった。赤ワインは渋みや酸味などカレーのもつ複雑味をより膨らませた。日本酒はほのかな甘さを加えた上に、肉の柔らかさにも大貢献。そしてビールはルウの奥底を支えるほのかな苦味を生み出した。ただし入れすぎは禁物。赤ワイン100%でもつくったが、カレーとは別物が出来上がり、大反省。いずれも水の量の10%程度で味わいの向上が確認された。

対して、蒸留酒についての評価はばらついた。ブランデーは「香り高くなった」、ウイスキーは「スモーキーでカレーに合う」などの評価もあったが、前出の醸造酒のような「誰もが絶賛」には及ばなかった。

【+赤ワイン】○渋み、酸味が加わる
【+日本酒】○甘ーい! 肉もホロホロ
【+ビール】○これぞ大人味!

【+ブランデー】△賛否あり
【+ウイスキー】△賛否あり
【+白ワイン】△強い酸味
【+焼酎】△赤ちょうちんの香り

※割合:焼酎、ウイスキー、ブランデーは水分の5%、それ以外は10%。

[論争2]アクを取るか、取らないか

▼テイスター全員が顔を見合わせた!

煮込み料理における「アク」問題は岐路に立たされている。アクには旨味も含まれているため、取らなくていいとする勢力も存在する。ならばカレーにおいてはどうか、検証が必要だ。

まず「一度も取らない」。キャンプのカレーのような野趣あふれる味わいになった。

「一度だけ取ってみる」。急激に味に親しみがわいてくる。まさにおなじみの家カレーの味わい。

そして最後に「出るたびに取る」(5回ほど)。驚いた。味が激変する。部員たちもスプーンを持つ手を止め、顔を見合わせた。アクを取っても、味が薄くなるわけではない。むしろ味わいが深くなる。ルウのスパイスの味や香りまで際立っている。

少なくとも家カレーにおいては、断じて「アクを討つべし」。そう結論づけざるを得ない結果となった。

【一度も取らない】△キャンプのカレー
【一度だけ取る】△よくある家のカレーの味
【出るたびに取る】◎衝撃の旨さ!

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松浦 達也