米国財務長官 ヘンリー・ポールソン
1946年生まれ。68年ダートマス大学卒。70年にハーバード・ビジネス・スクールでMBA取得。74年ゴールドマン・サックス証券入社。99年に会長兼最高経営責任者。2006年7月、財務長官に就任。


 

世界を金融恐慌の崖っぷちに立たせたとして批判が高まり、世界の株価同様に評価が急落しているのが、アメリカのポールソン財務長官だ。

今年3月に破綻したベアー・スターンズ証券はJPモルガン・チェース銀行に吸収合併という形で救済したが、9月のリーマン・ブラザーズ証券の危機では救済に動かなかった。しかも「公的資金を投入しようと考えたことは一度もない」と発言し、世界中の株価を大暴落させた。それに恐れをなしたのか、次に破綻の危機にあったAIGは公的資金による巨額融資枠を設定して政府支援を決めた。

その一貫性のなさに世界は呆れた。フランスのラガルド経済財務雇用相などは「リーマン・ブラザーズを破綻させたポールソンの決断は大きな間違いだった」と痛烈に批判している。

財務長官に就任したのは2006年7月。当時、ブッシュ大統領は、「金融市場に深い知識を持ち、経済問題を明確に解説することができる人物」と評していた。しかも、前職はゴールドマン・サックス証券の会長兼最高経営責任者だった。

就任してほどなく、米国の住宅価格は下落に転じており、サブプライム問題が萌芽し始めていた時期。「今日の危機をウォール街に君臨する投資銀行最大手のトップだった人物が予測できなかったはずはない」などと身内であるはずのウォール街関係者からも批判が続出しているほどだ。

11月には米国で主要国首脳会議(サミット)参加国と新興国首脳が集まって、金融拡大サミットが開催される。金融危機の収束に向けた強い決意だけでなく、具体的な方策を示して世界経済の混乱を回避する必要がある。同時に、それはポールソンが汚名を返上する最大のチャンスでもある。