「貨物車用」という表示は、乗用車の運転手にとっては「こけおどし」にすぎないわけだ。貨物車用パーキングメーターに駐車中、トラックから場所を譲るよう求められた場合も、譲らなくてはいけない法的根拠はないのだ。

根拠がないにもかかわらず、一見、貨物車しか停められないような表示がされている点には疑問が残る。駐車違反は罰則を伴うものであり、理解しやすい表示が望まれるところだ。

また、以上は東京都に限った話だ。京都府では、貨物車用に乗用車を停めると駐車違反になる。

「駐車可能なのは、特定中型貨物(8~11未満)以外の中型貨物(5~11トン未満)、および普通貨物(5トン未満)」(京都府警広報応接課)

少々ややこしいが、要は車両重量8トン以下の貨物車なら駐車可能で、それ以外は駐車違反ということになる。つまり利用の実態は無関係。純粋に、車検で登録した車種(乗用車か貨物車か)、と、道路交通法における車種区分(大型、中型など)によって駐車違反になるかどうかの線引きが決まるわけだ。

問題はこのような都道府県ごとの違いが周知されていない点だろう。公安委員会の決定は必ず告示されるが、多くの一般ドライバーは告示をチェックしていないだろう。自分が住んでいる地域のパーキングメーターがどのように運用されているのか、一度、地元警察に問い合わせておいたほうがいい。

(和田佳久=撮影)