【戦略(3)】競合他社と戦略的提携

前の2つの戦略は最も好ましいが、それがうまくいかない場合もある。交渉での弱い側であるあなたは、強い相手があなたの会社を排除するよりよいオファーを引き出すのを難しくする戦略的提携を結ぶことで、自社の力を高めることができる。

ピクチャークイックが、現在の契約が終わる1年近く前にスーパーマートの強気の交渉を予想していたと想像してみよう。その場合、ピクチャークイックは入札で自社の対抗馬になる可能性が最も高い同業他社を簡単に見きわめられていただろう。ピクチャークイックのライバルの立場からすると、スーパーマートとの契約を獲得できれば、当初はほとんど儲からなくても、大成功ということになる。

もう1つの選択肢は、最強のライバルではなく、2番目に強いライバルとの提携を模索することだ。この場合、業界リーダーのピクチャークイックは、3番手か4番手の業者にスーパーマートに対して合同入札を行わないかと声をかけることになる。あなたの会社とその格下の同業者は、2番手の同業者が単独で出せる条件よりよい条件を相手に提示できなくてはいけない。

提携すると、2つの会社の総合力はそれぞれの力の合計を上回る。そのため、ピクチャークイックとスーパーマートがともに進出したいと思っている市場で活動しているパートナーを見つけることが、理想的な解決策になることがある。

多くの場合、巨大企業は、自社の長期的な利益全般を重視することがいかに大切かを理解していないかもしれない。それどころか、あらゆる交渉を、豪腕をふるって弱い相手を打ち負かす機会とみなしているかもしれない。そうした状況では、あなたの最善の対応は、経営幹部に対して現行の契約よりよいエレガントな案を提示することだ。さらに、信頼性や忠誠心など、業者を変えることで損なわれるおそれのある重要な原則を持ち出して、議論の場をそれらの基準を満たす方法を探る場に変えてもよいだろう。

(翻訳=ディプロマット)