農業のPDCAは1年に1回しか回せないが、農家をグループ化すれば1年で100のデータが取れる

田原総一朗氏

【田原】いま従業員は何人ですか。

【岩佐】いま5年目ですが、正社員20人、地元のおばさんや農家のパートさんが30人で、ぜんぶで約50人を通年雇用しています。

【田原】もう採算は取れてる?

【岩佐】去年、やっと単年度黒字になりました。今年は出ていくお金より入ってくるお金のほうが多い状態になるでしょう。

【田原】橋元さんは15年かかるといっていたわけだから、ずいぶんと早いですね。農地も拡大しているのですか。

【岩佐】イチゴを栽培しているハウスは1.5ヘクタール。その他、苗をつくる施設やパック詰めの施設などを合わせると、ぜんぶで6ヘクタールになります。

【田原】さきほど山元町はイチゴの農地がほぼ壊滅したとおっしゃった。いまは他の農家も戻ってきていますか。

【岩佐】生産量はおおむね元に戻りましたが、農家の数自体は70くらいに減っています。農業の難しさは、1年に1作しかできない、つまりPDCAサイクルを1年に1回しか回せないところにあります。ただ、100の農家がグループ化してみんなでデータを出し合えば、1年で100年分のデータを得てみんなで発展できる。そのためにコンソーシアムをつくろうとしています。

【田原】復興は、道半ばですね。

【岩佐】そうですね。震災前と比べて、人口は約20%減りました。鉄道は来年春に復旧する予定です。外に出ていった人の中には新天地で生活の基盤を築いた人も多く、鉄道が復旧するからといって、すぐにみんなが戻ってくる状況にはならないと思います。だからこそイチゴを産業として発展させて、新規就農者がどんどん入ってこられる環境をつくっていきたいです。