入場者の9割は日本人、海外は「ゆっくり増やす」

【弘兼】澤田さんが社長になるまで、ハウステンボスは万年赤字でした。社内の空気は悪かったのでは?

【澤田】ひとことで言えば、誰も「勝ち戦」を知らない。開業からずっと赤字。給料は下がることはあっても、上がることはない。この10年、ボーナスも出ていない。雰囲気は暗いし、自信もない。ここは黒字にならないし、お客さんも増えない。そんなあきらめが充満していました。

【弘兼】どうやって従業員の意識を変えていったのですか。

グラフを拡大
ハウステンボスの業績はV字回復

【澤田】最初に全員を集めて、3つだけお願いしました。1つ目は「嘘でもいいから、明るく元気にやってくれ」。接客業ですから、これは当然ですね。2つ目は「みんなで掃除をしよう」。業績が伸びている企業は、どこも掃除が行き届いています。園内はもちろん、バックヤードも整える。朝の10分だけでも掃除をしよう。僕もやるから、と。

【弘兼】なるほど。まずは「隗より始めよ」ということですね。

【澤田】僕がやると言っても、ちょっとだけですけどね(笑)。

【弘兼】それでも社長が掃除をしていたら、従業員も動かざるをえません。

【澤田】3つ目は、「経費を2割減らし、売り上げを2割増やそう」。この3つが実現できれば、ボーナスを出します、と約束しました。幸い、翌年からきちんとボーナスを支給できるようになりました。

【弘兼】従業員に劇的な変化を求めたわけではないのですね。

【澤田】ハウステンボスは大きな会社です。そこには文化もある。従業員の愛着も強い。一気に変えてしまうとグチャグチャになってしまう。3~4年をかけてじわじわと変えるつもりで取り組みましたね。

【弘兼】日本への外国人観光客が急増していますね。14年は1341万人と過去最多。政府は20年までに2000万人に増やす目標を掲げています。私は、これからの日本は「観光立国」を目指すべきだと考えています。外国人観光客もかなり増えているのではないですか。

【澤田】ハウステンボスでは外国人観光客は入場者の約1割です。台湾、韓国、中国、タイ。うちでもじわじわと増えていますね。逆に、まだ多言語での対応ができないので、積極的な呼び込みは抑えています。

【弘兼】確かにサービスが中途半端になれば、満足してもらえませんね。

【澤田】外国からのゲストが一気に増えると、園内の雰囲気も変わってしまう。一気にではなく、ゆっくり増やしていこうとしています。