【田原】いま社員は何人ですか。

【関山】約100人です。その10分の1くらいが外国人で、インド、中国、アメリカ、ドイツ、サウジアラビア、エクアドル、イタリア、台湾などいろんな国から来てくれています。これからさらに増えていくと思います。

【田原】わかりました。将来は山形だけでなく、日本を代表する大きな企業になるかもしれませんね。楽しみにしています。

田原氏への質問:事業で社会貢献をしたい。きれいごとですか?

【田原】エネルギー問題をバイオで解決したいという関山さんの志は立派です。実際、クモの糸が石油由来の繊維の代替になれば、社会に大きく貢献する企業になるでしょう。

ただ、志を遂げるためには、まず目の前の人を喜ばせることが肝心。近江商人の言葉に「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「三方よし」があります。僕は滋賀出身だから知っていますが、これは順番が違っていて、本当は「買い手、世間、売り手」。つまりまずお客に信頼され、それによって社会にも評価され、最終的に自分も潤うのです。目線は高く持ちつつも、まず買い手を満足させることに全力を尽くす。それが結果的に社会貢献につながるのです。

遺言:社会貢献の前に「お客さん」あり

田原総一朗
1934年、滋賀県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、岩波映画製作所入社。東京12チャンネル(現テレビ東京)を経て、77年よりフリーのジャーナリストに。若手起業家との対談を収録した『起業のリアル』(小社刊)ほか、『日本の戦争』など著書多数。
(村上 敬=構成 宇佐美雅浩=撮影)
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