最も簡単な解決法は、糖質量がゼロに近いこんにゃく(100グラム当たり0.1グラム=しらたき)を多めに使うことである。西村たち開発メンバーは早速、粒状に加工したこんにゃくを白米に多めに混ぜた市販の「健康食」を取り寄せ、試食してみた。しかし、それだとどうしても食味や食感に違和感が残る。

当然だが、コンビニ弁当は病院食ではない。「健康」とともに「おいしさ」を追求しなければ、商品として成り立たない。試行錯誤の末、たどりついたのが「白米と粒状のこんにゃく、8種類の雑穀を混ぜて炊き、青菜とじゃこを加えて味のバランスを整える」(西村)というレシピだった。

一方、おかず部分については「男女を問わず人気の食材」(西村)である鶏肉を採用、「鶏の柚子こしょう焼き」を主菜にした。

だが、万人に好まれる甘辛い味付けにするためには、甘さ=糖質を使わなければならない。簡単に解決するには人工甘味料を使えばいいが、ここでも西村たちはこだわった。

そもそも「ファミリーマートでは中食商品に合成着色料、保存料、人工甘味料を使わないという自主基準を設けている」(高倉)のだが、ここでは「甘さにあわせて辛さを控える」ことで、バランスのとれた甘辛さを実現したのである。

「dancyuダイエットシリーズ」と名付けられた弁当・おむすび。もう一つの商品は、「糖質量白米比20%オフ」を実現した同一ブランドのおむすびである。

糖質量を減らすには、ごはん部分の白米の比率を下げなくてはならない。ここまでは弁当と同じである。だが、米飯グループおむすび担当の三木春香によると、「ごはんをよそうのではなく、成形するのがおむすびです。粘り気が少ないとおむすびの形を保てません」。

白米と粒状こんにゃくの配合比率をいろいろと試しながら完成した「野沢菜チーズおむすび」は、通常のおむすびとほぼ同じ約110グラムの大きさで、糖質量は白米比約20%減の約30グラムを達成。中心に具を入れるタイプだと「白米との食感の差が出やすい」(三木)ために、海苔を巻かないまぜごはんタイプとした。

開発担当者の工夫と熱意が詰まった「dancyuダイエットシリーズ」は、北海道を除く全国約1万1500店のファミリーマートで3月15日から販売が始まった。関西、関東で好評を博した「健康中食」。全国展開することで、より多くの人に親しまれることになるだろう。(文中敬称略)

(大杉和広=撮影)
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