キャッシュレスが浪費を誘発するメカニズム

デビットカードの潜在的な問題点の2つめは、金銭感覚の希薄化を起こす点です。どちらかというと、私はこちらの方を危惧しています。

一般のクレジットカードであっても、デビットカードであっても、その大きな特徴はキャッシュレスで支払いが済ませられる点です。つまり、「現金」を持たずにモノやサービスを手に入れられます。

一方、あなた自身の持っている「お金」は、その金額が通帳にしっかり印字されていて、そこから使った分が引き落とされ、引き落とされた後の金額がやはり印字されるだけ。「現金」は、一切見ることも触れることもありません。こうしたキャッシュレスでの買い物をすると、多かれ少なかれ金銭感覚が希薄化し、「使った」という意識が薄くなることがさまざまな実証実験で指摘されています。前出の(1)(2)のデビットカードなどを含むキャッシュレスは潜在的に浪費を誘発しやすいのです。

一般のクレジットカードよりも、デビットカードの方が資金管理しやすい、というロジックに違和感を覚えるのは、まさにこの点です。結局はどちらも現金を見ないのですから、どうしても資金管理を難しくさせる要因を内包しています。

本当に家計改善を目指すのであれば、「クレジットカードよりもデビットカード」ではなく、私は現金決済に戻った方がより効果的だと思うのです。そもそもデビットカードであっても資金管理をしないといけないのは前述の通りですし。

カード会社系のデビットカードであれば「ポイントが付く」といいますが、あくまでカードで利用した金額のほんの一部がポイントとしてつく程度。それよりも、ムダ遣いをなくす方が圧倒的に家計には効果的です。

世の中、実にお買い物をしやすくなりました。

決済の利便性が高まったといえば聞こえはいいですが、それだけ私たちのお財布は狙われている、といってもいいのかもしれません。いろいろな広告宣伝を目にすれば、欲しくなって当然です。だからこそ、限りあるお金は優先順位をつけて、有効に使うことが求められるのだと思います。

この時代にこそ、あえて現金決済にしてお金を使いづらい環境に自らを置くことも、ムダ遣いを抑えるのに有効なのかもしれません。

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