PV数はリニューアル前の10倍にまで増加

RUNWAYは、誰でも直感的に利用できるシステムだった。「メールを送るぐらいの感覚で使える」(近藤氏)という。

近藤詔太・三越伊勢丹 伊勢丹新宿本店紳士・スポーツ営業部計画担当長

これで課題の一つは解消された。残る課題は組織づくりだ。メディアとしてのクオリティと更新頻度、つまり質と量を担保するには専任メンバーが必要だということが、これまでの経験で痛いほどよくわかっていた。そこでISETAN MEN'S net編集部を立ち上げ、5人のメンバーを配置した。

2015年2月にリニューアルしたISETAN MEN'S netをオープンさせた。編集部が毎日、新しいコンテンツをアップさせ、その数は徐々に増えていき、現在、多い月では200本もの新しい情報を提供している。

「弊社の経験でいうと、月に100本ぐらい新しいコンテンツを用意できるとページビュー(PV)数はコンスタントに伸びていく。しかもその伸び方がヘルシーで、検索エンジンで検索されたオーガニックな形での流入が多くなるので、広告投資をしなくても人が集まるようになる」

ソルフレア代表取締役CEOの藤縄智春氏はこう説明する。

ISETAN MEN'S netをリニューアルして約1年経ったが、PV数はリニューアル前の10倍にまで増えているという。それによる効果も現れてきた。例えば、ISETAN MEN'S netの人気コンテンツに、「SNAP」という各ショップの店員のコーディネイトを掲載したものがあるが、「全身、このスナップ写真と同じものを揃えて欲しい」という顧客が現れたり、伊勢丹メンズ館が以前から提供している「パーソナルカラー診断」サービスを受けたいという顧客が急増したりしているのだ。

「パーソナルカラー診断は10年ぐらい前から行っていたが、それほど認知されていなかった。それをISETAN MEN'S netで紹介したところ、1日に10人以上の希望者が現れるようになった。1日に対応できるのは4~5人のため、今は順番待ちをしていただいているところです」と近藤氏は話し、笑みをみせる。

また、伊勢丹メンズ館はGPS(全地球測位システム)やBeacon(ビーコン)と呼ばれる電波を発信する装置を使ってISETAN MEN'S netのスマホアプリに情報を送る取り組みも始めている。具体的には、顧客が伊勢丹メンズ館の最寄り駅に着いたときや、伊勢丹メンズ館の各フロアに入ったときなどのタイミングで、伊勢丹メンズ館で行っているイベントや、フロアで行っている催し物などをリアルタイムで配信するといったことだ。

「個人情報は取得していないが、Beaconを使うことでお客様がどういう同線で動いているのかがわかる。そういったデータが集まれば今後の店舗戦略にも生かせるはずです」と藤縄氏は説明する。