突然ですが、連載「為末大の相談室」の総まとめとして、ベストセラー『ない仕事の作り方』(文藝春秋刊)の著者、みうらじゅんさんとの対談をお送りします。「陽気な引きこもり」だったみうらじゅん氏と「体育会系読書部」を自任する為末大氏。小学校の頃出会っていたらまったく接点がなかったであろうお二人は意外にも意気投合。プロとは何か、長続きする秘訣とは何か、肩書とは何か、超人と変態の違いは……といった「根源的」な問題に、ゆるく、深く迫ります。

【みうら】為末さんにお聞きしたいんですが、アスリートってどこまでを言うんですか?

【為末】アスリートってどういうイメージですか?

【みうら】いや、体を動かす人ってことでいえば寺参りも入るんじゃないかって(笑)

【為末】「競う」という要素が入ったらそうかもしれませんね。

【みうら】競うねぇー。寺参りだと差し詰め朱印集めを競うぐらいになっちゃいますねぇ(笑)なるほど体を動かし競うってなると……。いまやAVにも「アスリート」っていうコーナーがあるんですよ。それまでのAVって「ノーマルか変態か」の二大ジャンルだったと思うんですけど、それがどんどん細分化されていて、10年くらい前から「アスリート」というジャンルもできて、それまでは「レオタードもの」ぐらいしかなかったんですけどね。

【為末】新しいジャンルができたわけだ。

【みうら】AVでのアスリートはあくまでコスプレなんですけどね。それにまつわるファッションがあって初めてジャンルというものはできるから。

【為末】僕は3年前に引退して、いまはいろんな仕事をしているんですけど、もともとは陸上競技をやっていました。陸上はいろんなスポーツのなかでオタク度合いがいちばん高いスポーツかもしれない。

【みうら】ほうほう。

【為末】組織でうまくやっていけないタイプというか。現役引退後に研究者になる人も多いんです。

【みうら】基本、個人競技ですもんね。

【為末】そうですね。だからみうらさんの著書を拝読してすごく共感するところがありました。

【みうら】僕も明らかに団体じゃないんで。