境目は「自尊心」

そもそも、僕たちはなんで「他者の優位」に対して嫉妬してしまうのでしょうか。

海外のある研究によると、「他者の優位」は自分の「自尊心」というものを激しく脅かしてしまうようです。つまり、嫉妬心は自分を守ろうとする“防衛反応”の一種だというのです。

そして、その嫉妬心が「死ねばいいのに」といったマイナスのものになるか、「僕も頑張ろう!」というプラスのものになるかにも、「自尊心」が大きく関わっています。簡単にいうと、自尊心が低い人は、「他者の優位」に対して拒否や攻撃といったネガティブな行動を起こしやすく、一方で自尊心が高い人は、挑戦的でポジティブな行動を起こしやすいというわけです。

さて、嫉妬による行動をポジティブにもネガティブにも変える「自尊心」とは、一体どのようなものなのでしょうか?

自尊心(self-esteem)とは、自分を大切にできる気持ちのことをいうのですが、「“ありのまま”の自分を受けいれる力」が関係していると考えられています。この“self-esteem”については、日本のある研究者が説明に用いた「自己肯定感」という言葉がよく使われるようになりました。

これは単に、“自分に自信がある”というような意味ではありません。

自尊心や自己肯定感は、「社会的に評価されたり認められたりしているという『条件』がなくても、自分の存在には価値があると感じられること」、つまり自分の「無条件肯定」といいかえることができます。例えば、学校での成績が低かったり、会社でのポジションが低いなど「社会的比較」における条件は悪くても、信頼できる昔からの友達がいたり、家族に愛されていたりという人は、自分の存在そのものを認めることができ、高い自尊心を持てているようです。