2016年3月11日(金)

テストには絶対出ない! たまごの日本史

dancyu 2014年4月号

文・沼由美子

あまりに当たり前にそこにある。和洋中にエスニック、酒場でだって顔を合わせる。庶民には高嶺の花だったはずのキミ(と白身もね)。いつの間にか、こんなにそばにいてくれるようになった、卵の歴史を振り返ろう。

▼紀元前2世紀頃――日本に鶏がやって来た!
中国から朝鮮半島を経て伝わったという説が有力。日本最古の歴史書『古事記』にも鶏が登場。天照大神が天の岩戸に隠れてしまうと、声を長く引いて鳴く鶏「常世の長鳴鳥」を鳴かせて朝が来たと思わせた。その長鳴鳥、なんと現在も飼育されている。尾羽の長い黒色の日本鶏「黒柏」とされ、天然記念物に指定。

▼676年――日本初の肉食禁止
仏教を厚く保護した天武天皇により、農耕期間に限って牛、馬、猿、犬、鶏の肉食が禁止される。そこには卵も含まれていたという。その後何度も肉食禁止令が 発布されているのを鑑みると、一朝一夕で肉食の習慣は改まらなかったよう。庶民は「鶏は大事な時告鳥」と称して飼育し、きじ肉と偽って食べていたという。

▼1100年頃――これが養鶏産業の元祖か!?
鎌倉中期から後期の軍記物語『源平盛衰記』に、こんな記述が。「京都の七条修理太夫信孝が白鶏を1000羽飼育し、後に4500羽に増えて、付近の稲田を荒らした」。早くも平安時代頃に養鶏産業の起こりの気配あり。

▼1800年頃――江戸時代、卵売りが登場
一般的に卵を食べるようになったものの、庶民にはまだ高価な栄養食。それでも町中には、天秤棒を担いで売り歩く卵売りが現れ出す。病人食として珍重される一方、「精のつく食べ物」としても重宝され、盛り場にはゆで卵売りが出現。特に花街の吉原では、血気盛んな男たちの人気を集めた。

▼1920年頃~1950年頃――外国から種鶏の輸入が始まる
養鶏界もまさに文明開化。明治維新以後、今では一般的な白羽に赤いトサカの鶏、レグホン種が登場。ほか、アメリカ原産で卵肉兼用種の横斑プリマスロック種、赤褐色の身体堅強なロードアイランドレッド種などが輸入、品種の改良が行なわれ、卵用鶏の産卵能力が大幅にアップ。卵を得るために農家の庭先で鶏が飼われ始め、小規模の養鶏農家が増える。

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沼 由美子