2016年2月28日(日)

釜本邦茂さんの「人に教えたくない店」

食に貪欲な人間のほうが、試合でもやっぱりタフだよね

PRESIDENT 2015年12月14日号

上島寿子=構成 宇佐美雅浩、ハリー中西=撮影
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元サッカー日本代表、日本サッカー協会顧問
釜本邦茂さん

1944年、京都府生まれ。早稲田大学在学中に東京五輪の日本代表メンバーに選出。68年のメキシコ五輪では、7得点を挙げて得点王に輝き、チームの銅メダル獲得に貢献した。大学卒業後はヤンマーディーゼル(現・セレッソ大阪)に所属し、通算202得点、国際Aマッチでは75得点をマーク。85年に引退。現在は京都文教大学客員教授。全国で1000回を超えるサッカー教室を開催している。
 

今は大阪に住んでいますが、生まれは京都。毎年、祇園祭や大文字の送り火は友達と見物しています。京都で案内するのが「花郷」。懐石料理は京都らしいし、祇園にあるから風情も楽しんでもらえます。

「京華小吃」の小龍包は、東京で一人暮らしする孫娘の大好物。僕も中華料理は好きなほうですね。若いころ、東南アジアで試合があると中華を食べることが多かった。最近は選手の栄養管理がきちんと考えられているけれど、僕らのころは「そこらへんで適当に食っとけ」という感じで。タイで入った店は、「うまいなぁ」と食べていたのが蛇だったり、カエルだったり。油のにおいも強烈でしたね。

旧・ソ連に遠征に行ったときには、黒パンより数の少ない白パンを食べたくて、朝食時間の15分前から待ち構えていることもあった。食べることは競争ですからね。学生時代もすき焼きは箸で肉を押さえて取られないようにして、焼き肉はまだ赤いうちに食ったり。僕は兄貴がいるので、小さいころから鍛えられてきたのもあるけれど、食に貪欲な人間のほうが、試合でもやっぱりタフですね。

もう一つ、食に関して忘れられないのは母親が作った鶏のスープ。鶏ガラをじっくり炊いたもので、どろっと白濁していてとにかく濃い。「サッカーをするには体が丈夫でなければ」と、丼鉢一杯を毎日、飲まされていました。現役中、ほとんどケガをしなかったのは、父親譲りの体幹の強さとこのスープのお陰でしょう。

ただ、最近はサッカー教室で子供と試合すると、あちこちが痛くなる。普段から鍛えておけばいいと思っても、どうもやる気にならなくて。選手時代からトレーニングで走った記憶はないですから。

唯一の健康法はゴルフですね。女房や友達と回るんですが、うまくなりたいと思ってないからスコアすらつけない。ゴルフって最初から最後まで一人でやらなければならないでしょ。しんどいんですよ。「パーパットなんて真剣にやっていたら、心筋梗塞になるで」ってよく言ってます。

その点、サッカーは自分のポジションにいればいいし、あかんと思ったら他の選手にボールを渡せばいい。ゴルフよりラクですよ。

ただ、この前、ラウンドした日にエージシュート(自分の年齢より低いスコアで回ること)が3人も出たと聞いて。今71歳なので、挑戦してみようかと思っているところなんです。

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