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3年連続で民間の賃金交渉に政治介入したが

安倍晋三政権が目指す「成長と分配の好循環」を実現する上で重要な鍵を握る、民間の賃金交渉の場となる「春闘」が本番を迎えた。安倍政権は賃金上昇により、デフレ経済からの脱却をより確実にするため、躊躇なく3年連続で民間の賃金交渉に政治介入した。日本銀行も2月16日にマイナス金利政策を実施し、民間の賃上げを後押しする。

「アベノミクス」の生命線である円安、株高を狙ったとされる未踏の領域に踏み込んだ日銀の金融政策は、世界的な金融市場の混乱から真逆に作用し、急速な円高、株安を招き、今後の賃金交渉はにわかに不透明感を増しつつある。これには「成長と分配の好循環」の道筋も霞みかねない。

今春闘を巡っては、労使とも賃上げの方向で交渉に臨む方向にあった。経営側を代表する経団連は、会員企業に対して1月19日に公表した春闘の行動指針「経営労働政策委員会報告」(経労委報告)で、「昨春闘を上回る年収ベースの賃上げ」を明記した。労働側も「デフレ脱却に賃上げが必要」(連合)と、大手の鉄鋼や重工の労組が加盟する基幹労連が2月12日に経営側に要求書を提出したのを手始めに、2月中旬までに自動車、電機の主要業界の要求が出そろい、3月16日の一斉回答に向け、賃金交渉が本格化した。

しかし、今春闘での基本給のベースアップ(ベア)を巡っての対応は労使ともに、2年連続で実施してきた昨春闘までの事情とはやや異なる。実際、春闘相場に圧倒的な影響力のあるトヨタ自動車をはじめとする自動車大手の各労組は、ベア分に当たる賃金改善として月額3000円と、昨春闘の6000円から半額の要求にとどめた。

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