大手は「800万円超」が21万人も増加

では、この年収は、平成24年と26年との比較ではどうなるのだろうか? まず「大手 男性 正規」のところである。

▼平成24年と26年で比較「大手 男性 正規」の給与

「800万円超」21万人増(14.3%増)
「800万円以下」2万人減(1.7%減)
「400万円以下」6万人減(11.9%減)

つまり、低い年収の層が減り、高い年収にシフトしたことが伺える。経団連加入の大手企業は、当然のことながらベースアップを行い、賞与も満額回答したのだろう。

一方「中小 男性 正規」は、どうだったのか?

▼平成24年と26年で比較「中小 男性 正規」の給与

「800万円超」増減なし
「800万円以下」13万人増(8.5%増)
「400万円以下」4万人減(1.9%減)

図を拡大
中小は低い年収の層が減り、高い年収にシフトした。しかし、それより目立つのが大手「800万円超」層の増加数だろう。出典:国税庁「民間給与実態調査」(平成24年版と最新版の平成26年版)

つまり、低い年収の層がわずかに減り、800万円以下の層にシフトしたことがわかるが、それは「低かった年収が、多少マシになった程度」であり、アベノミクスの恩恵に浴したとはとても言えない。

◎男女格差もくっきり

次に男女格差(正社員)をチェックしてみた。下記は「男性 規模計 正社員」のデータである。

▼「男性 規模計 正社員」の給与(平成26年)

「800万円超」13.1%
「800万円以下」52.0%
「400万円以下」34.9%

これに対して、「女性 規模計 正社員」は、こうなっている。

▼「女性 規模計 正社員」の給与(同)

「800万円超」2.2%
「800万円以下」29.8%
「400万円以下」67.9%

実に67.9%もの女性が年収400万円以下なのだ。ちなみに、大手ではなく、「中小 女性 正規」の場合だと、年収400万円以下の比率は実に85.9%に達する。

この男女格差は、改善の方向に向かっているという印象はなかった。