大手と中小では生涯賃金は「億単位の差」

筆者は、データをつぶさにチェックした。

まず目立ったのは、一番賃金が高いエリートである「大手・男性・正規」のところだ。平成26年の年収は、こうなっていた。

▼「大手・男性・正規」の給与(平成26年)

「800万円超」33.3%
「800万円以下」56.7%
「400万円以下」10.0%

つまり、大手の男性社員は、3人に1人が800万円超なのだ。この比率は高いと思う。

◎「能力格差」ではなく「所属格差」

一方、「中小 男性 正規」はどうなのだろうか? それは、こうなっていた。

▼「中小 男性 正規」の給与(同)

「800万円超」1.9%
「800万円以下」42.0%
「400万円以下」56.1%

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800万円超は大手の場合3人に1人がだが、中小は50人に1人。出典:国税庁「民間給与実態調査」(最新版・平成26年版)

つまり、中小では800万円超になるのは1%しかいないのだ。大手が30%以上であることを考えると、その違いは小学生でもわかるほどに歴然としている。そして、400万円以下は、大手が10%に対して、中小は56.1%に達し、過半数を超えた。

この規模格差は、どう考えてもいびつと言わざるをえない。これは「能力格差」というよりも「所属格差」ではなかろうか? どこの会社に勤務したか? という点のみで、生涯賃金がまったく異なってしまう。仮に年間300万円の差があるとして、40年間の会社員生活で1億2000万円ものギャップとなるのだ。