一生懸命、丁寧に書いているのに、次につながらない手紙やメールが多い。商売を広げる文章と、ごみ箱行きの赤点文章の違いは何か。

一歩間違えるとさらなる惨事に

ビジネスにおいて謝罪が必要となった場合、スピードが重視される。だからまずは謝罪する意思があるということを端的にまとめたメールを送ることが必須で、手紙はそのあとだ。

手紙では、まず、申し訳なく思っていることを伝える。そのうえで、対象と自分の責任の範囲を明確に示す必要がある。「○○について、わが社がご迷惑をおかけして、申し訳なく思う」とはっきりと述べる。

補償については、最終的には交渉で決めることではあるが、補償の意思があり、近々お話に伺いますと書いてあれば、もらったほうは安心できる。

詫び状におけるNGの代表的なものが、「言い訳状」になってしまっているもの。手紙においては自分の責任を明確にし、その部分についてきちんと謝罪の意思を示し、それ以上のことはぐちぐち言わない。また、補償対象が複数にまたがっている際に、相手先によって補償内容を変えて「この件はご内密に」と伝えるのは不誠実な印象を与えるので厳禁だ。

北尾吉孝社長が添削! 「謝罪の意が伝わる」詫び状

【×BEFORE】

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詫び状

(1)どのような不具合があったのか不明瞭であり、責任の範囲と所在が伝わらない。

(2)自社の責任がどこまでかを明確にするだけでよい。ぐちぐちとした言い訳は不要だ。

(3)「口外しないで」「内密に」と言うのは逆効果。ますます不信感が募っていく。

【○AFTER】

(1)どのような不具合があり、何に責任を取ると言っているのかが明確でいい。

(2)どのような補償をするのか決めるのに、時間がかかる場合もある。そんな場合でも、補償をする意思があることを伝えれば、相手も安心できる。

(3)相手の事務所や家にお詫びに訪問する予定であっても、取り急ぎメール、手紙を送ることで、謝罪の意思を表明し、相手の不安感を和らげることができる。

北尾吉孝
1951年生まれ。兵庫県立神戸高校卒。慶應義塾大学経済学部卒業後、野村証券入社。92年事業法人三部長。95年ソフトバンクに転じて、常務取締役に。99年ソフトバンク・インベストメント(現SBIHD)設立、代表取締役執行役員社長。