優秀なMBA人材が外資系企業に流れていく

日本の大学でも相次いでMBA(経営学修士)コースが開設されています。実際、学生やサラリーマンはMBAへの関心が高いですが、MBAの持ち主は米系企業に就職するには有利ですが、なぜか日本企業には不人気です。

『人事部はここを見ている!』溝上憲文著(プレジデント社刊)

その理由を人事担当者に尋ねると「どうも頭でっかちのイメージがあり、ゼロから鍛える新人としては使いにくい」と異口同音に言います。

一方、消費財メーカー採用担当者はこう言います。

「MBAホルダーだから採用に有利になるということはありません。学卒と同じ目線で選考しています。どんな人であれ、入社後の10年間は下積みの時期です。どんな仕事でも耐えられる根性と忍耐力がなければだめです」

日米のMBAに対する評価の違いは、入社後の働き方の違いもあります。日本企業では1~2年の現場実習を経験し、その後は営業、次は経理などと若いうちは何カ所も職場を異動し、下積みを経験します。

それに対して外資系企業は財務、マーケティング、法務といった職務で採用され、専門職としての道を歩みます。その意味ではMBAの持つ専門性は重宝がられますが、日本では無用の長物ということなのでしょう。

でも不思議なのは最近流行の外国人採用です。大手IT企業の米国法人ではハーバード、スタンフォード、UCLAといった有名大学のMBAを採用しています。同社の人事部長はこう言います。

「経営トップは日本人ですが、採用を含む賃金制度などの人事管理は米国式に合わせています。アメリカ人が日本に赴任することはあっても短期間ですし、問題はありません。入社後の日本的な育成方法はアメリカ人やアメリカの風土には合わないと考えています」

人材活用のグローバル化やグローバル人材の養成が叫ばれている割には、日米で採用方針や人事管理が異なるというのはいかがなものでしょうか。このままでは日本人の優秀なMBA人材が外資系企業に流れていくことになります。

はたしてこれで日本企業はだいじょうぶなのでしょうか。

※本連載は書籍『人事部はここを見ている!』(溝上憲文著)からの抜粋です。