年齢による比較が無意味な理由

上場企業が毎年提出する有価証券報告書には社員の平均年収と平均年齢が記載されています。たとえば800万円(43歳)とあっても、実際の年収とは大きく異なります。成果主義賃金の浸透により今では社員間の給与格差が拡大し、たとえ同期でも大きくばらついているのが現実です。

電機メーカーの人事課長は「平均年収というのは何の意味もない」と言います。

『人事部はここを見ている!』溝上憲文著(プレジデント社刊)

「40歳の同期入社の年収分布を調べると、最低が400万円、最高が1500万円。600万円以下が3分の1、600万~800万円が3分の1、残りは800万円以上と完全にばらけています。そもそも平均年収を出すこと自体に何の意味もなくなっています。うちでは中央値で算出しています」

もちろん、平社員や部長など役職によっても違いますし、年齢による比較が無意味なほど格差が広がっています。実際の給与格差について精密機器メーカーの人事部長はこう指摘します。

「年功賃金時代の30代後半の非管理職の平均年収が800万円とすれば、プラスマイナス4%程度の格差でした。しかし今では4倍の16%程度に広がり、年収にして670万円から930万円程度の差が開いています」

あくまで管理職以外の格差ですが、管理職層になるとさらに格差が広がると人事部長は言います。

「45歳の課長は1200万円。同期の部長は1500万円、同期のトップの本部長クラスは2000万円もらっています。それだけでも800万円も違いますし、同期の中で圧倒的に高い年収をもらっている人が何人かいるというのは別に珍しいことではありません」

もちろんその年収はいつまでも安泰というわけではありません。年功給の時代と違い、今では降格もあります。

実際に「突然役職を外され100万円程度下がるケースもある」(人事部長)と言います。50代でも30代前半の社員と同じ年収という人は決して珍しくない“年収下克上”が現実なのです。

※本連載は書籍『人事部はここを見ている!』(溝上憲文著)からの抜粋です。