「どのような人生を送りたいのか、自分がわくわくする価値観は何なのか? 組織の中で生きるのか、独立を目指すのか。仕事に打ち込むのか、プライベートを優先するのか。プラス、その生き方を選択できる能力を自分は持っているのか? いずれにしろ準備期間のスケジューリングが大事になります。早く見つけて準備すれば、それだけ夢が叶う確率は高いのです」と阪南大学国際コミュニケーション学部教授・博士(臨床教育学) 寿山泰二教授は言う。

では、図のエクササイズに挑戦してみよう。寿山教授に夢のロードマップの具体例を作っていただいた。

図を拡大
▼夢をつなぐ架け橋
[1]「現在」のところに、自分の現状のキャリアを記入する。
[2]今後、自分が「どのような人生を送りたいのか」、実現したい夢や目標などを複数(2つ以上)抽出し、優先順位をつけ、上位1番から3番まで記入する。
[3]1番から3番の先にある、さらなる夢・目標をA、B、Cに記入する。
[4]1番から3番の夢・目標を叶えるために必要な知識・スキル、努力・時間、お金・環境などを考えて実践する。さらにその先のA、B、Cを叶えるために同様に考え実践する。

参考事例は現在40歳の営業課長の場合。彼の1番の夢は、経営のスペシャリストとしての独立開業。経営コンサルタントとして起業を夢に、当面の目標を「中小企業診断士」合格に置いている。

2番の夢は社内のジェネラリストとして将来的には役員(取締役)就任。当面は所属部署の「部長」を目標とする。部長になるために何が必要なのか、ほかにどういうルートがあるかなども考えていく。また、子会社出向やヘッドハンティングの可能性があることにも気づく。

3番の夢は語学のスペシャリストになること。将来は国際人になることを目標に、まず語学力をつけるためTOEIC900点を目標に勉強する。語学力を活かせば海外赴任のチャンスが生まれる。海外支店や支社で活躍することで、現地での様々な交流が広がり、よりやりがいのある会社で仕事ができる可能性も出てくる。

自分の多面性を知ろう

「ひとつの目標がクリアされると最初に設定したその次の目標(ゴール)に一歩近づくだけでなく、その時点での選択肢が新たにいくつか生まれます。そこで、もう一度振り返り、自分の進みたい道を選択していけばよいのです。また、当初の目標がいつまでもクリアされない場合も、毎年振り返ることで、自分の行き先が本当にそこでいいのか、本当に達成できるのかを考えるきっかけになります」

寿山教授は、40代は成功体験を持っているぶん、ひとつの方向に囚われがちだという。

「自分の多面性を知ることです。あんな自分もいれば、こんな自分もいる。人間は多面的だからこそ人間らしいのです。可能性を絞りすぎると苦しくなります。また、いい資産を持っているのに、気がつかなかったり、チャンスを与えてくれそうな協力者が現れ、手をさしのべているのにもかかわらず、見逃してしまったり、もったいないことも起きがちです」

阪南大学国際コミュニケーション学部教授・博士(臨床教育学)
寿山泰二
(すやま・やすじ)
関西学院大学商学部卒業。民間企業、公認会計事務所を経て、税理士として独立。その後、京都創成大学教授を経て現在。税理士免許と臨床心理士資格を持つ日本唯一のキャリアコンサルタント。
(構成=遠藤 成、大塚常好)
【関連記事】
稼ぐ人が見据えているのは、どのくらい先の未来か
1年ごとに夢の点検「ワンイヤー・デザイン」で思い描く人生へ
日本人の8割「波乗り人生」はなぜ漂流するか?
キャリアの悩みを断ち切る「3つの処方箋」
仕事の何に重きを置く? 8タイプの「キャリア・アンカー」