お題は、マイナス金利。「仮説検証」力を鍛えましょう

考える力を高めるには仮説を立てて検証することが大切です。仮説・検証を繰り返していると、思考力が高まり、意思決定の精度も上がります。

私が訓練としてやっているのは、経済現象、それも大きく新聞に取り上げられるような案件の先行きについて、この先の展開のシナリオ(仮説)を立てるということです。大きな話題は動きがダイナミックな上に、常にマスコミがその動向を教えてくれるから仮説の検証をしやすいからです。

例えば、先月末、日本銀行は「マイナス金利」を導入しました。

それについて、私が立てたシナリオ(仮説)は以下の通りです。

「マイナス金利」とは、民間銀行が日銀に預ける日銀当座預金の金利を、今後預ける分からマイナス0.1%にするというものですが、私は次の2つのシナリオを考えました。

▼マイナス金利の先行き 仮説1

まず、良いシナリオとして考えたのは、銀行は日銀に預けるお金がマイナスになるのはもちろん嫌ですから、日銀には預けずそのお金を貸し付けや株式購入などに使うことです。

そうなれば、これまで以上に、低金利で金回りが良くなり、株式相場も上がり、景気拡大に動きやすいということになります。また、日米金利差の広がりから円安になれば、輸出企業を中心に業績が上がり、さらに、景気、株価も上昇するということです。

これは日銀が望んでいることです。

この前提としているのは、結構見落とされがちですが、今回の「マイナス金利」政策は、それとともに「異次元」とまで呼ばれている「量的緩和」も継続されるということです。

つまり、「マイナス金利」とともに、従来通り年間80兆円、毎月6兆~7兆円程度の国債を民間銀行から買い入れ、その代わり、お金を日銀当座預金に入金するということです。その増加分を民間銀行が日銀に預けたままにすればマイナス金利となりますから、市中にお金が出回りやすくなるわけです。