本来なら、営業担当者が顧客の状況と要望を詳しく聞き取り、その人に合った“オーダーメードのプラン”を提案してくれればいいのだが、知識も経験も豊富な“エキスパート”と呼べる人材は、業界内でもひと握りしかいないという。

“複数の保険会社の商品から、公平中立の立場で保険を提案する”と謳っていた保険ショップも、実際には自社に手数料の多く入る商品を勧めているという指摘がある。

となると、やはり、保険は“他人まかせ”にしてはいけない。そもそも日本人は、世界でも有数の“保険好き”。万一に備えすぎて、目の前の生活が苦しくなっている家庭も少なくない。人生にはリスクが付きものだが、何から何まで保険で備えようとすれば、保険料負担が増大するのは目に見えている。

もしも、現時点で必要保障額を満たせるだけの現預金があるのなら、保険はいらない。現金は最もフレキシブルであり、幸いにして死や病気・ケガに見舞われなければ、そのまま他の用途に使える。ただ、これから積み立てるのだとしたら、必要保障額に匹敵する残高になるまでには相当の時間を要するので、それを保険でカバーする(図下を参照)。

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(上)万が一への備えで生活が苦しくなるのは本末転倒(下)預金は三角、保険は四角

以上を踏まえて、改めて必要保障額を見直し、自分に必要な保険選び/見直しをやってみてほしい。コツは、どういう保障が、いつまで、いくら(必要保障額)必要なのかを明確にしておくこと。

それができたら、満を持して営業担当者にその要望を伝えよう。こちらに「こうしたい」という明確なリクエストがあれば、彼らもそれに応じた商品を探し、本当の「おすすめプラン」をつくってくれるはずだ。

 
東京プロビジョン代表取締役 都倉健太
大阪市立大学卒業後、三井海上(現・三井住友海上)に入社。2004年、豊富な商品知識と業務経験を持つ保険会社のOB・OGを中心とする代理店、東京プロビジョン設立。著書に『保険は今より6割安くできる!保険会社の社員が家族にしか教えない保険の「超」見直し術』(東洋経済)ほか。
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