勤怠データからは、本当のスタッフの状況は分からない

ではなぜ、従来のシフト管理では短時間勤務の要望に応えられないのだろうか。その要因の一つが「アナログ方式でのシフト管理」だと言う。

「一般的に、店舗のシステムに過去の勤怠データとして蓄積されているのは、何月何日にどのスタッフが働いていたかという最終的な“結果”です。一方、もともとスタッフが最初にどのようなシフト希望を出して、それをどのように調整したのかという“過程”はデータに残っていないんですね。これは、『シフト希望を募り、調整する』という行為が、従来のアナログ方式だったり、勤怠システムとは別のツールを利用して行われたりしているからです」(仲川氏)


(図)『シフオプ』のシフト管理表

たとえばスタッフからシフト希望を募る際、それらは専用の用紙に書き込まれたり、メッセージアプリなどのツールで連絡を取り合ったりというパターンが多い。それを元に調整し、最終的な決定シフトを本システムに入力する。最終的なシフトだけがシステムデータとして蓄積されるため、スタッフの希望日や調整過程はデータで残らない。つまり、どの曜日のどの時間に勤務を希望するスタッフが少ないのか、本当の実情はわかりにくいのだ。

となると、求人を出すにも、「特定の曜日に特定の時間だけ」というピンポイントでの勤務時間の提示は難しくなる。なるべく幅広い時間帯で対応できる人材を求めてしまうのだ。

そのような現状に対して、リクルートジョブズでは、『シフオプ』というシフト管理システムを提供している。これは、スタッフのスマホなどと連携して、シフト希望の募集から調整、シフト決定までを一括してシステム内で行えるというものだ。


(図)『シフオプ』シフト希望充足率(欠員)マップ
平日は充足率が高いのに対し、金~日の夜は不足しているなど、 視覚的に充足率の把握ができます

「シフト実績がデータで残るだけでなく、なぜこのようなシフトになったのか、その過程もデジタル化されてデータとして残ります。こうなると、たとえばチェーン店の経営者たちが個別の店舗スタッフの充足状況を見るとき、本当はどれだけ人が足りないのか、より鮮明にわかるはずです」

『シフオプ』を利用すると人件費管理も簡単にできるという。シフト作成の段階で、売り上げ目標に対する人件費を算出できるため、その場でスタッフの過多を判断できる。反対に、各曜日・各時間帯でのシフト希望を見ながら、売り上げに応じてスタッフを増やすことも容易になる。それは、繁忙状況に適したスタッフ配置を可能にし、売り上げのアップにつながるようだ。

『シフオプ』では、複数店舗でのシフト管理を一括で行えるため、チェーン店であれば隣接店舗間でのスタッフ不足を補うことも容易になるという。