所得税算出の「控除」の内訳を全部言えるか?

「給与所得控除」のほかにも、実は控除があります。

それは、全ての納税者が無条件で所得控除できる「基礎控除」が38万円、生命保険や地震保険に加入している方(文末に特別コラムあり)は、それらの年間支払額を控除できます(上限あり)。養っている家族がいる場合は、その家族の「配偶者控除」や「扶養控除」などもあります。12月末の家族なので、年末までに扶養が増えた場合は、その年の控除対象になります。

これらの記載もやはり源泉徴収票にはありませんが、その合計が図Aの「所得控除の額の合計額」(6)になります。

たとえば、会社に勤めていて、配偶者が専業主婦、大学生の息子が1人いる場合、配偶者控除が38万円+特定扶養親族控除(19歳以上23歳未満)が63万円控除です。20歳以上の大学生は、国民年金に加入します。国民年金保険料は、「学生納付特例制度」を使うと支払う必要はありません。しかし、親が支払うと国民年金保険料は全額所得控除(平成26年度は、195120円)になります。税率10%だとすると、所得税が約2万円少なくなります。

その他にも、会社で確定拠出年金のマッチング制度が導入されている場合、制度を利用すれば全額所得控除できます。要するに所得控除を使えば、会社員も節税することが可能なのです。

「支払金額」(1)から、こうしたものをすべて引き、そこに税率をかけたものが「源泉徴収税額」(2)となります。これが、あなたが国に支払った所得税の金額です。

▼有能なビジネスパーソンは源泉徴収票をスルーしない

所得税は、支出が多い方や収入が少ない方に、負担が重くなり過ぎない仕組みになっています。

会社員は、源泉徴収や年末調整の制度があり、税金や社会保険料を支払っている実感が少ないと思われます。

今回のような確認作業をすると、税金の使い道が気になったり、社会保険料の大きさに驚いたりとさまざまな発見があります。そのことが節約意識を高めることや、人生のマネープランの立案・修正に役立つのです。

私の経験上、有能なビジネスパーソンほど月1回の給与明細や、年1回の源泉徴収票をスルーしないで、しっかり確認するルーティンを持っています。