これに対し、去年7月、米商工会議所は、中国の政策は「外国のハイテク企業に、今日の利益と明日の存続を天びんにかける苦悩を強要するものだ」と批判している。また、ドイツの大手総合化学メーカーのBASF、総合電機メーカーのシーメンスの幹部は、去年温家宝首相と面会した際、中国政府の政策について懸念を示した。

これより先、ゼネラル・エレクトリックのジェフリー・イメルト最高経営責任者(CEO)も同様の懸念を示していた。

このような批判に対して、中国政府は、同国の投資環境に関する懸念は「根拠がない」と反論している。

温家宝首相は、去年、天津で開催された世界経済フォーラムの会合で、「中国は、外資にとってオープンで公平な環境をつくるよう努力している。中国の外資企業は、全般的に良好な環境を享受しており、高い利益を上げている」と述べている。しかし、某日系自動車メーカー幹部は、「工業情報化部の計画は、われわれが中国で電気自動車を生産する事業計画に対して、ハードルを不必要に高くしている」と語り、「20年までに、中国が電気自動車とプラグイン・ハイブリッド車の主要市場になるだろう。外国自動車メーカー各社は、これらの車種を中国で生産する必要があり、現地生産を検討しているところだ。この中国の新政策(中国企業の出資比率を51%にするもの)が、これらの生産活動をより厄介で複雑なものにするのではないか」と非難している。

関係筋によれば、トヨタ自動車は、日米欧では09年から販売しているハイブリッド車「プリウス」の新型モデルの中国での販売時期を、この新政策が明確になるまで延期したともいわれている。

外国メーカーの幹部は、この新政策に対して、「中国が力ずくで外国メーカーに対し、市場参入と引き換えに技術を明け渡せと言っていることにほかならない」と批判するように、「51%問題」は極めて重要な問題なのだ。

もちろん、計画が最終決定される前に、技術移転の条件が変更、縮小される可能性は残されてはいるが、依然として予断を許さない状況が続いていることに変わりはない。

※すべて雑誌掲載当時

(AFLO=写真)